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<五輪へ駆ける>双子ランナー村山 世界挑戦

むらやま・けんた 旭化成。宮城・明成高−駒大出。1993年2月23日、仙台市生まれ。176センチ、55キロ。22歳。
むらやま・こうた 旭化成。宮城・明成高−城西大出。1993年2月23日、仙台市生まれ。174センチ、53キロ。22歳。

 仙台市出身の双子ランナー、村山謙太と紘太の兄弟(ともに旭化成)が、8月のリオデジャネイロ五輪を目指している。兄謙太は2月の東京マラソンで日本代表の座を狙い、昨年11月に1万メートルで日本記録を樹立した弟の紘太はトラック種目に照準を合わせる。世界最高峰の舞台での快走を思い描き、切磋琢磨(せっさたくま)する2人を追った。(剣持雄治)

<攻めの走りを>
 「他の選手が今まで何分で走っていたかは関係ない。僕たちの常識、世界で戦う常識なら当たり前だと思う」
 マラソン練習の柱となる40キロ走で、過去のランナーよりも早い設定タイムで走破する謙太。五輪代表に決まる日本陸連が設けた2時間6分30秒を視界に捉え「常識を破って攻めの走りをする」。初マラソンでも強気の姿勢を崩さない。
 「正直、トラックでまだ上を目指したいと思っていた」と言う。ただ、今回の挑戦は時期尚早ではない。
 謙太の1万メートル自己ベストが昨年5月に記録した27分39秒95。2時間6分16秒のマラソン日本最高記録を持つ高岡寿成カネボウ監督の1万メートルより4秒86遅いだけ。自身と高岡氏の記録を比較し「ある程度のスタミナがあれば2時間6分台はいけるんじゃないかな」。勝機は十分あるようだ。

<入賞逃し奮起>
 マラソンで世界に挑む長距離界の星は、中学生までは平凡な選手だった。仙台市八軒中3年時に出場した県大会の3000メートルでは9位。「内心、(8位以内で)入賞したかった。悔しくて…。このままではまずい」
 明成高に入学するまでの半年間、若林区の自宅近くで、紘太と二人三脚で自主練習に明け暮れた。受け身になっていた部活動のトレーニング内容を見直し、自らメニューを考えた自主練習で走力と筋力を鍛える。
 「お、痛みがあるぞ。これからまた(状態が)上がるな」
 同じ筋肉痛でも部活動の時とは痛みの感じ方が違った。強化する体の部位を2人で相談して考え、練習メニューに落とし込む。「レース前に2人で鬼ごっこをしていた」という少年の競技に取り組む姿勢はこの時、百八十度変わった。
 「伝統校に憧れていた」と駒大へ進むと、学生ナンバーワンランナーに。駒大の大八木弘明監督(会津若松市出身)に「日の丸を背負わせてやる」と励まされ「五輪という道があるんじゃないかな」と思い始めた。「一流選手として大事なことをたたき込まれた」。エリートとして歩んだ4年間が財産となった。

<別々の道歩む>
 2人が唯一、別々の道を歩んだのが大学時代。城西大に進んだ紘太は「強くなりたかったし、一生懸命走る姿を謙太に見せたくなかった。自分がやりやすい環境を求めた」。兄の背中を追わずに駆け抜けた学生時代の成果は早速表れる。
 昨年11月の八王子ロングディスタンス。1万メートルに出場し、高岡氏の日本記録を5秒40更新。27分29秒69で、日本人で初めて27分30秒の壁を乗り越えた。1500メートルや5000メートルを得意とし、1万メートルには「あまり興味はない」と漏らすが、「自分も走れるんだぞと周囲に示すことはできた」と自信を深めた。

<大舞台へ挑戦>
 2人の目標は20年の東京五輪でそろってマラソンに出場することだ。旭化成OBの宗茂(旭化成顧問)、宗猛(同総監督)兄弟の勇姿を重ね合わせ、紘太は「すごく注目されると思う。村山兄弟の力を出し切り、戦う姿を日本中のみんなに見てもらいたい」と力強く語る。
 社会人1年目でマラソンに初挑戦する兄に先を越される形にはなったが、マラソンはあくまで東京五輪にピークを合わせるつもりだ。
 「現代のマラソンはもっとスピードにこだわった方がいい。そういう時代をつくりたい」
 1500メートルや5000メートルを極める理由はここにある。「1キロ3分ペースで走ってもマラソンは2時間6分かかる。まずはトラックでスピードを磨いて、マラソン一発目で2時間4分台でいく。昔とは違った方法でいきたい」
 一足先にマラソンの世界へ飛び込む謙太とトラックで速さを追求する紘太。これからの4年間は全く違ったアプローチでの挑戦となるが、目指すべきゴールは一緒だ。
 「別々な道になったが、最終的には東京五輪で(2人で)活躍できればいい」。杜の都で育ったツインズが世界へ羽ばたくため、別々のスタートラインに立った。

 ◇村山兄弟の主な足跡
<2008年>
 11月 全国都道府県対抗駅伝宮城県代表選考会の高校5000メートルで、謙太、紘太が1、2位でゴール。そろってメンバー入り
<13年>
 10月 出雲全日本大学選抜駅伝で、謙太が3区の区間新記録を出す。駒大の大会新記録での優勝の原動力となる
<14年>
 5月 関東学生対校選手権の1万メートルの1、2部で兄弟同時優勝
 11月 全日本大学駅伝の1区で謙太が兄弟対決を制し、駒大の4連覇に貢献
<15年>
 1月 全国都道府県対抗駅伝で、兄弟そろって県代表として出場。過去最高の2位に導く快走を見せる
 6月 日本選手権5000メートルで紘太が13分37秒22をマークして初優勝
 11月 八王子ロングディスタンスの1万メートルで、紘太が27分29秒69をマーク、14年ぶりに日本記録を更新する

 ◇村山兄弟の主な直接対決
2014 箱根駅伝(2区=23.1キロ) 1時間8分27秒 1時間12分25秒
2014 全日本大学駅伝(1区=14.6キロ) ◎42分58秒 42分58秒
2015 箱根駅伝(2区=23.1キロ) 1時間7分46秒 1時間7分43秒
(注)年、大会名(区間=距離)、謙太の記録、紘太の記録の順
   ◎は区間賞、全日本大学駅伝はたすき渡しの差で謙太が上回った


2016年01月19日火曜日

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