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<あなたに伝えたい>取り戻した「らしさ」喜んで

自宅に設けた飲食店で生き生きと働く光子さん

◎岩井光子さん(宮城県東松島市)から孝悦さんへ

 光子さん 木工職人だった夫は誰にでも親切で、同級生をまとめる存在でした。同級会では司会を務め、輪の中に入れない人にも積極的に声を掛けるなど頑張っていたそうです。
 夫を失ってから1人でふさぎ込むことが多くなりました。そんな姿を見かねた妹や友人が、以前に私が衣料品店を開いていたこともあり、商売を始めることを提案しました。昨年8月、自宅のリビングで店をオープンしました。
 2007年に建てた自宅の内装は夫が担当しました。開店に当たって自宅を調べたところ、飲食店に必要な設備が全てそろっていることに気付きました。夫が私を思い、先を見据えて整えてくれていたようにも思います。
 店には夫の同級生が男女を問わず、多く訪れてくれます。思い出話を聞いて初めて知る夫の姿もあります。夫の死を受けて同級生が「心に穴が空いたようだ」と話すのを聞くと、寂しくなる半面、「慕われていたんだな」とうれしくなります。
 店を始めて緊張感を持つようになったからでしょうか。「前よりも生き生きしている」と言われるようになりました。そんな姿を見て夫も「お母さんらしく生きているね」と天国から喜んでいると思います。
 仕事ではいつも、夫が最後に着けていた腕時計をしています。津波に漬かっても壊れなかった時計です。夫が生きていると思って、感謝の心を持ち、今後も店を続けていきたいですね。



 岩井孝悦さん=当時(69)= 東松島市小松地区で妻光子さん(74)と暮らしていた。地震後、姉を迎えに自宅から同市大曲浜地区に向かい、津波にのまれたとみられる。光子さんは昨年8月、自宅で妹岩渕ひろ子さん(65)と飲食・衣料品店「カフェ&ファッション Bell」を開いた。


2016年01月24日日曜日


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