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<震災5年へ>沼か海に息子いる 再捜索切望

「息子はここにいるかもしれない」と古川沼を見つめる吉田さん

 東日本大震災で行方不明になっている岩手県陸前高田市の人々の家族らが、海岸近くにある古川沼や広田湾の潜水再捜索を海上保安庁と岩手県警に求める署名活動を25日、始めた。同市の不明者は205人。「十分に捜索されないと家族は納得できない。その最後のチャンス」と震災から5年の節目を前に徹底捜索を切望する。
 中心となるのは同市の吉田税(ちから)さん(81)と長女の戸羽初枝さん(54)。吉田さんの長男で、戸羽さんの弟利行さん=当時(43)=がいまも不明だ。
 水中捜索は震災直後に海保や県警が実施。その後は2013年7月にNPO法人、8月には海保と県警が古川沼を潜水捜索したが、手掛かりは得られなかった。既に沼の一部は防波堤工事の道路敷設で埋め立てられ、沼底の掘り起こしも行われなかった。
 一方、15年7月には脇ノ沢漁港近くの海中に沈んだ乗用車から男性=当時(76)=の遺体が発見された。
 だからこそ吉田さんは「震災後の混乱の中、隅々まで捜索できたのか。古川沼で一人も見つからないことがあるのか」と思う。
 吉田さんは震災から1年ほど遺体安置所を捜し回った。利行さんの右太ももにはやけどの跡がある。いれば見逃すはずはないのに、見つからない。13年3月に葬儀を上げたが、骨つぼに納めたのは利行さんが好きだった野球のボール一つだけだった。
 復興の妨げになりかねないと捜索要請をためらっていたが、間もなく震災から5年。「息子は沼か海にいるんじゃないか。不明者への関心が薄れ、今回が最後のチャンス」と関係機関の決断を願う。
 署名は市外の人も対象で2月15日まで。戸羽さんが勤める「産直はまなす陸前高田」で受け付けるほか、陸前高田東日本大震災遺族連絡会のフェイスブックから用紙をダウンロードできる。署名簿は戸羽太市長に提出し、2月に開会する市議会に請願を出す。連絡先は遺族連絡会090(9633)5281。


2016年01月26日火曜日


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