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<いわて酒造り>基本守り「ぶれない」

ざるに約12キロの蒸し米を入れ駆け足で運ぶ。米はむしろの上で冷まし、麹や醪に使われる
1829年の創業当時から使う酒蔵には、約20本のタンクが並ぶ

◎一滴入魂(1)蔵人

 「米は生き物、毎年同じじゃないから、酒造りは難しいんだ」
 八幡平市の蔵元「わしの尾」の酒蔵。蒸し米担当の「釜屋」を務める外柳民雄さん(66)が、新入りの蔵人に語り掛けた。
 蔵には、麹(こうじ)を造る「麹屋」、酵母を培養する「〓(もと)屋」といった役目がある。杜氏(とうじ)が10人の蔵人を指揮し、酒の味を決める。
 午前8時半、蔵人は釜で蒸した米を取り分けたざるを肩に担ぎ、次々と運び出す。直径約1.5メートル、深さ約1メートルの釜には、約900キロの米が入る。もうもうと上がる湯気。スコップで米を掘り出す外柳さんの額に汗が浮かぶ。
 酒米は年や種類によって粒の硬さや大きさが違う。「使う銘柄を間違えたら売り物にならない。基本を守りつつ、ぶれない蒸し米造りが理想だ」。外柳さんの目が輝く。
     ◇
 酒造りの職人、南部杜氏を生んだ岩手で日本酒の寒造りが最盛期を迎えている。奥深く、脈々と受け継がれる酒文化を写し取った。(盛岡総局・佐藤将史)=5回続き

[酒造り]製造工程は(1)米を精米して蒸す(2)蒸し米に麹菌を繁殖させ、米のでんぷんを糖化する麹を造る(3)アルコール発酵を行う酵母を培養し、酒母を造る(4)麹、酒母、蒸し米、水を合わせた醪(もろみ)で糖化と発酵を同時に促す(5)醪から酒を搾り貯蔵する。

(注)〓は「酉」ヘンに「元」


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2016年01月28日木曜日

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