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<宮戸小ラスト1年>地域の宝 継承の試み

収穫したノリを天日干しにする子どもたち=昨年12月

 本年度で閉校する宮城県東松島市宮戸小(児童18人)は今、142年の歴史の最後の学期を送る。東日本大震災から5度目の冬。復興途上にある宮戸島で、子どもたちの営みを見詰める。(石巻総局・八木高寛)

◎島唯一の小学校2016年冬(上)ノリとともに

 宮戸島は冬、特産品の一つ、ノリの生産がピークを迎える。
 船が早朝、養殖いかだが浮かぶ沖合へと向かう。ローラーで網を巻き上げ、ノリを収穫する。宮戸島産は弾力があり、磯の香りが強いのが特徴で、高品質と評価が高い。
 宮戸小では、児童によるノリ作り体験が恒例の行事だ。地域の宝を子どもたちが実感する大事な作業でもある。
 昨年12月初め、3、4年生の5人が室浜地区のノリ加工施設に集まった。
 生ノリを木枠に流す。スポンジを使って水分を抜く。寒風が頬を刺す中、ノリを金枠に並べ、天日で乾かす。「手が冷たい」。子どもたちは地元住民から手ほどきを受け、伝統的な製法を学んだ。

 島のノリの養殖は、気仙沼地方から伝わったとされる。ボイラーや扇風機など乾燥用設備が整った1960〜65年ごろ、本格化したという。
 鳴瀬川と吉田川の栄養豊富な水が注ぐ島周辺は、ノリの良質な漁場となっている。だが、震災で養殖・加工施設が被災。担い手が減り、生産量は震災前の約6割にとどまる。
 3、4年生が仕込んだノリは12月中旬、色麻町の加美農高3年生約20人を招いた食材交流会で振る舞われた。
 宮戸小での交流会では、加美農高が持ち寄ったコメでおにぎりを作った。素材の味を感じるため具材は入れず、味付けは塩のみ。
 「ノリのパリパリした食感がすごい。自分たちで作ったからこそ、おいしい」と宮戸小3年の山内紳太郎君(9)。高校生が釜炊きしたご飯と香りの強い地元のノリが生み出す滋味を、みんなで味わった。

 島ではノリの魅力をもっと広く知ってもらおうと模索する動きもある。
 市宮戸市民センターが運営し、被災者が働く食堂「げんちゃんハウス」。2012年のオープン以来、ノリを活用したメニューの開発や製造・販売に取り組んできた。
 この1月、売り出したのが新メニューの「ノリピザ」。ノリのつくだ煮と生クリームを混ぜたペーストを生地に塗り、刻んだ焼きノリとチーズをまぶした。
 専用の釜で焼いたピザは23日、店に初めて登場。今後月1回のペースで焼く。
 センターの奥田邦行所長は「宮戸の特産品は何と言ってもノリ。多くの人にその魅力を知ってもらうため研究と改良を重ねたい」と意欲を見せる。
 震災による減産と後継者不足、体験の場となった小学校の閉校と逆風にさらされる中で、地域の宝を継承する試みが続く。


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2016年01月31日日曜日


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