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<海洋エネ>釜石沖で産業化 試作ブイ設置へ

釜石沖での設置が予定される試作ブイ(釜石・大槌地域産業育成センター提供)

 東日本大震災で被災した岩手県釜石市の企業が中心となり、波力や洋上風力など海洋再生可能エネルギーの産業化を目指す動きが具体化してきた。市外を含む企業約30社が岩手県や市と研究会を設立。設備の開発や製造、保守管理など幅広い分野で参入の可能性を探る。2月にも、発電装置の搭載を見据えて試作したブイを釜石沖に設置する。
 昨年12月に発足した研究会には海洋土木、造船、金属加工など多彩な業種の企業が参加した。研究開発に関する国内外の情報を共有し、各社が事業化につなげる。内陸の県内企業にも入会を呼び掛ける。
 全長約11メートルの試作ブイは、県の補助事業を活用して公益財団法人釜石・大槌地域産業育成センターが同市の小鯖船舶工業に発注した。釜石沖に浮かべて動作を確認し、波の高さや方向を計測する。
 研究会会長で同市の及川工務店の泉修一社長は、津波で社屋や重機を流された。「震災で全てを失ったが、海は健在だ。次世代のため、新たな地域づくりのために一体となって取り組みたい」と意気込む。
 産業育成センターでは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受け、海面の上下動を利用するリニア式波力発電装置の研究開発も進む。東大や東北大とともに及川工務店、小鯖船舶工業が参加する。
 センターの平沢政敏専務理事は「参入に求められるレベルは高いが、海洋再生可能エネルギー産業の裾野は広い。地場企業が自社の技術力を高め、事業拡大と経営基盤強化に結び付けるチャンスだ」と強調する。
 釜石沖は昨年4月、海洋再生可能エネルギーの実験適地として国の実証フィールドに選ばれた。
 メーン試験場の沖合に加え、小規模試験に対応する湾口、機器の組み立てや動作確認に使える湾内と三つのエリアがそろう。離島が多い他の実証フィールドに比べ、陸地に近い半径5キロ以内で実証作業が完結できる利点がある。
 市内には製鉄や鉱山、船舶の関連技術を持つ企業が集積し、物資輸送に便利な釜石港や整備が進む高速道路網があることも強みだ。県科学ILC推進室の担当者は「釜石が将来、国際的な研究拠点になれる可能性は十分ある」と期待する。


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2016年02月01日月曜日


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