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<検証福島の学校>帰町か転校か 悩む保護者

楢葉町内での小中学校再開と同時に廃止される仮設校舎=いわき市

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が昨年9月に解除された福島県楢葉町は、2017年4月に町内で学校を再開する。教育・生活環境が整うのには時間が必要と判断。解除から1年7カ月後に設定したが、なお課題は多い。親は子どもの心と向き合いながら、避難先か古里の学校を選ぶことになる。

 福島県いわき市にある楢葉町立小中学校の仮設校舎。午後3時半ごろ、市内などを巡るスクールバス14台に小学生が次々と乗り込む。
 町民の小学生326人のうち78人、中学生212人のうち64人が通う。保護者の中には「町内での学校再開は早い。分校の形で残してほしい」との声もあったが、町は17年3月の廃止を決めた。
 帰町するのか、いわきから楢葉に通うのか、いわきの学校に転入するのか−。仮設校舎の保護者は、重い決断を迫られている。
 いわきに避難し、仮設校舎に小学3年の次男が通う渡辺岳志さん(39)は「迷っている」と打ち明ける。
 避難で苦労した子どもの転校は避けたいし、本人もそれを望んでいる。環境の整わない楢葉に戻ったり、通ったりするのに不安が残る。楢葉の中学校で希望する部活動ができるのか…。
 渡辺さんは「帰町や転校が可能かどうかも含め、各家庭にそれぞれの事情がある。避難して5年という時間があまりにも状況を複雑にした」と訴える。
 仮設校舎で中学1年の長男ら3人の子どもが学ぶ草野勝弘さん(39)は、17年春に帰町し、楢葉の学校に通わせると決めた。「いつかは楢葉に帰る。学校再開がそのタイミングだと判断した」と説明する。「今の中学1年生は、楢葉の学校に行きたいという子が多いようだ」とも話す。
 悩む保護者らの要望を受け、町が検討を始めるのが、いわきと楢葉を結ぶスクールバスだ。運行しないとの当初方針を転換し、再び可能性を探る。
 最大の障害は、廃炉・除染作業員の車で発生する大渋滞。いわき市中心部の家からだと、到着に1時間半程度かかるとみられる。中学生や小学高学年はJR常磐線での通学も考えられるが、低学年は難しい。
 矢内賢太郎教育長は「低学年の保護者には、より難しい判断をしてもらわなければならない」と語る。
 既に兆候はある。毎年10人以上いた小学校の新1年生が、今春は半分ほどに減るとみられている。
 矢内教育長は「中学生などは思ったより増えそうだとの期待もある。当面は低学年が少ない逆三角形のような構成になるかもしれない」と推測。「生活環境が整い、学校が魅力的な教育をすれば、児童生徒は増える。覚悟と希望を持ち、準備を進めたい」と強調する。

[楢葉町の学校再開]新築した楢葉中校舎で小中学生が一緒に学ぶ。町教委などが昨年7月、小中学生538人の保護者を対象に実施した調査では、再開時に「通学する」と答えたのは36人、「迷っている」は43人。今後あらためて意向を調査する。仮設校舎には、既に帰町した小中学生4人も楢葉町から通い、4月には10人程度に増える見込み。


2016年02月01日月曜日

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