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<検証福島の学校>反発噴出 転校模索も

プレハブの仮設小学校に登校する飯舘村の児童たち。転校するか否かの決断を迫られている=1月29日、福島県川俣町

 原発事故は、地域再生の鍵を握る教育現場にも影を落とす。学校の再開時期をめぐる行政と保護者の溝、児童生徒が激減する中での授業、薄らぐ古里の記憶−。事故から間もなく5年。避難区域の小中学校は重い課題に直面している。(福島第1原発事故取材班)

◎震災5年へ(上)揺れる再開

 仮の学びやから故郷の校舎へ。喜ばしいはずの「学校の帰還」を前に、保護者と生徒に戸惑いが広がっている。
 東京電力福島第1原発事故による全村避難が続く福島県飯舘村。年明け間もない1月7日、4人の保護者が福島市に置かれた村役場を訪れた。小中学校のPTA幹部たちだった。

<先送りを要望>
 村は昨年10月、2017年4月に村内での教育を再開させる方針を示した。4人は「時期尚早」だとして、自治体幹部に再考を促す要望書を提出。3年以上の先送りを求めた。
 保護者有志が実施したアンケートでは、村への通学に慎重な意見が8割を超えた。小学校のPTA会長を務める川井智洋さん(42)は「地域の将来像が見えない中、村内で就学するか否かを判断するのは難しい」と父母の胸中を代弁する。
 「17年3月まで」という帰還目標が打ち出されているものの、汚染された土地は完全には元に戻らない。通学路には除染などの作業車が行き交っている。「子の安全を確保できるのだろうか」。原発事故の被災地特有の事情が保護者の迷いを深める。
 村は現在、福島市と福島県川俣町の仮設校舎で授業を行っている。住民の中には村内の本校舎への通学を早々に諦め、避難先への転校を模索するケースも出始めている。
 飯舘中1年の斎藤さくらさん(13)は転校組の1人。早ければ今夏にも福島市内の学校に移る予定になっている。「同級生の半分はバラバラになるみたい。みんな一緒に卒業したかったんだけどな」。斎藤さんがぽつりとつぶやいた。

<市の思惑と溝>
 今春の避難指示解除を目指す南相馬市も揺れ動く。
 市教委は避難区域となっている同市小高区内の小中5校をことし8月に再開させる考え。既に2回の説明会を開催するなどしているものの、保護者の反発が収まる気配はない。
 昨年11月には小高中の保護者が「安全・安心な学習環境を求める父母の会」を結成。1、2年生の半数を超える保護者から署名を集め、再開の先送りを求める請願を市議会に提出するなどしている。
 会の代表を務める志賀充さん(47)は「避難区域は空き家ばかり。防犯面で不安が残る。PTAを交えて適切な時期を探ってほしい」と訴える。
 学校は次世代を育む地域の拠点だ。教育機能の回復は、若年層の帰還に向けたアピール材料にもなる。だが、地域再生を急ぐ自治体の思惑は、親心とは容易に相いれない。
 「学校の早期再開を望む避難者がいるのも事実。世帯ごとに生活再建のスピードも違っており、どこにタイミングを合わせるのかが難しい」。南相馬市教委の幹部が嘆いた。


2016年02月01日月曜日

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