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帰れぬ双葉への思い 絵に注ぐ

親しんだ福島県双葉町への思いを込め、制作に取り組む鴻崎さん

 東北芸術工科大准教授で画家の鴻崎正武さん(43)が、祖父母が住んでいた福島県双葉町をモチーフに絵の制作を進めている。町へ16日に寄贈し、いわき市の仮役場に飾られる。福島第1原発事故により大半が帰還困難区域となっている現状に「各地で暮らす住民が、人の温かな双葉町を思い起こすきっかけになってほしい」と願いを込める。
 タイトルは「TOUGEN−ふるさと双葉町」。伝統のだるま市や海水浴客でにぎわった郡山海岸、町営の海の家マリーンハウスふたば、磨崖仏など、町の行事や風景を描く。大きさは縦約1.3メートル、横約1.6メートルで、昨年7月に描き始めた。
 「TOUGEN」は鴻崎さんが手掛けるシリーズで桃源郷にちなむ。風景の中に鳥のような幻想の生き物、こけしなどをちりばめ、独自の物語、世界を作り上げている。金箔(きんぱく)や岩絵の具を使い、鮮やかな色使いで描いている。
 鴻崎さんは福島市生まれで、父方の祖父母が双葉町で酒販店を営んでいた。幼いころから家族と共に通い、店番をしたり海で泳いだりした。鴻崎さんが大学進学後は、両親が双葉町へ戻って暮らしていた。将来は店を継ごうという思いもあったという。
 「帰るのが難しくなってしまったからこそ、記憶にとどめておこうという思いが強まった」と鴻崎さん。「人や地域との関わりの中で絵を描いてきた。作品には町への恩返しの気持ちも込めたい」と、最後の仕上げに取り組んでいる


2016年02月06日土曜日

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