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<変化山形知事>得意分野は強い姿勢

やまがた新電力の設立総会で意義を強調する吉村知事(左から2人目)。「卒原発」具体化の一歩と位置付ける

◎2期目満了まで1年(中)政策

<異例の予算措置>
 「観光客入り込み数4500万人、有効求人倍率1.0倍以上、保育所待機児童ゼロ。高い数値目標を設定した中には、既に達成した施策もある」
 吉村美栄子山形県知事(64)は1月25日の定例記者会見で、2期目に掲げた公約の成果を並べた。とりわけ待機児童解消への動きは速かった。
 「任期中に達成する約束を前倒しして、来年4月にゼロに持っていきたい」。2013年9月の補正予算案説明で、再選後、実質1年目での実現を表明した。
 盛り込んだのは全国でも異例の予算措置。市町村の公立保育所の定員増、具体的には施設増改築事業に補助金を支出した。
 13年4月時点の待機児童が77人と少なかったとはいえ、約束を果たした。1995年の集計開始以来、待機ゼロは初めてだった。
 NPO法人やまがた育児サークルランドの野口比呂美代表は「市町村任せでは時間がかかるとの判断だろう。費用助成を伴う誘導は現場に響く」と指摘する。
 野口代表は、啓発と取り組みを促した施策として受動喫煙防止策も評価する。希望した形にはならなかったが、抵抗を織り込みながらあえて提起したとみる。
 知事は14年2月、県議会で東北初となる罰則付き条例制定の可能性に言及した。野口代表らが要望書を手渡して条例化を後押ししたのに対し、たばこ、飲食業界団体は強く反対した。
 1年後、条例化は見送ったが、全国初の受動喫煙防止宣言を策定した。17年度を期限に、公共施設の全面禁煙、飲食店、宿泊施設の禁煙、分煙率の大幅アップなど数値目標を設定した。

<初の新電力会社>
 吉村知事は2期目に当たり、将来ビジョン「理想郷山形」を提示した。産業振興と地域再生の視点から、産業・雇用創出、定住・移住の促進、子育て環境充実、地域振興−の四つの基本目標を掲げて進める。
 看板政策「卒原発」では昨年9月、地域電力会社「やまがた新電力」を設立し具体化を図った。都道府県が主導した初めての新電力会社だった。
 県と民間18社が出資。電力小売りが全面自由化される4月、県内の再生可能エネルギーで発電された電力を年間2300万キロワット時買い取る方向で調整が進む。一般家庭6000世帯分の消費電力に相当し、当面70カ所の県有施設に供給する。
地域資源に着目
 知事は卒原発、新電力の目的の一つとして、東日本大震災で発生した大規模停電を教訓に「災害対応力の向上」を挙げる。青写真には太陽光、風力などの導入拡大で、30年までに原発1基分(101万キロワット)の電力開発を描く。
 しかし、新電力が設立されたとはいえ自前の送電網はなく、供給量の規模、対象は限定的だ。知事自身、会社設立の意義を問われた定例会見で「今すぐ災害対応にはつながらない。第一歩にしたい」と述べた。
 「2期目に入ってしぶとく成果を求める姿勢が出ている。地域資源に着目する視点やセンスは悪くない」
 東北文教大の大川健嗣副学長(地域経済論)は知事の意欲を買う一方、政策の客観的評価の徹底、企業誘致など農業以外の産業振興やインフラ整備促進などに課題があると指摘する。「政治家の手腕が問われるのは得意分野以外の施策対応力。専門性を持ち、苦言を呈するブレーンを置く勇気が必要だ」と語る。


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2016年02月09日火曜日


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