福島のニュース

福島の菜種油 英LUSHがせっけん原料に

菜種栽培に向けて機材を手入れする杉内さん=南相馬市原町区太田

 東京電力福島第1原発事故後の農業復興を目指し、福島県南相馬市の農家グループ「南相馬農地再生協議会」が栽培に取り組む菜種の油を、英国企業がせっけんの原料に選び、10日から神奈川県内の工場で製造する。6月ごろ収穫される本年産菜種からも油1〜1.5トンを買い入れる予定だ。英国企業は継続支援を希望し、同協議会は「念願だった販路が開ける」と喜んでいる。
 農地再生協議会は、原発事故後に作付け自粛とされたコメに代わり、菜種の栽培と油の特産化を目標におととし、同市原町区太田の有機農家杉内清繁さん(65)を代表に、共鳴する農家ら12個人・団体が結成した。昨年は約30ヘクタールに畑を拡大、9トンの菜種油を生産した。
 英国企業は世界的な化粧品・バス用品メーカーのLUSH(ラッシュ)。昨年6月、日本法人担当者が杉内さんを訪ねて菜種油を仕入れ、せっけん商品化の研究開発を英国本社で行った。好結果を得て9月に550キロを買い入れ、生産に乗り出すことを決めた。来月1日から「つながるオモイ」の名前で国内販売する。
 契機は3年前。チェルノブイリ原発事故後の復興のため地元ウクライナの農業大学などが広めた菜種栽培を杉内さんが視察し、自らも栽培を試みる姿がテレビ番組で紹介され、日本法人の関係者が目を留めた。
 「菜種油を原料にしたせっけん開発で、生産の取り組み、品質、哲学が消費者にとって確かな相手を探していた。杉内さんたちとの提携は東日本大震災の被災地支援にもかなう。買い入れを継続して増やしたい」とラッシュ・ジャパン(神奈川県愛川町)の担当者は話す。
 同協議会は菜種油の販路開拓のため、おととしから食用油「油菜ちゃん」を販売している。商品名やラベルを、同じ復興の志で菜種栽培に参加する相馬農高の生徒が手掛けた。マヨネーズも売り出したが、油の用途はまだ限られている。
 「ことしは栽培面積が40ヘクタール近くに増える予定だが、ラッシュとの提携でこれから、仲間、栽培を広げる目標ができた。搾油は現在、栃木県の施設で行っているが、南相馬に自前の搾油所が必要になるだろう。行政とも相談していきたい」と杉内さんは話している。


関連ページ: 福島 社会

2016年02月09日火曜日


先頭に戻る