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<検証地域経済>後継者育成 専門家派遣を

関満博(せき・みつひろ)成城大院修了。東京都職員などを経て98年一橋大教授。11年3月同大退官。同4月から現職。67歳。富山県出身。

 東日本大震災の被災企業はグループ化補助金といった制度で再建に踏み出せたものの、震災から5年を経て、売上高などの事業者格差が顕在化してきた。今後の支援はどうあるべきか。阪神大震災と東日本大震災で企業支援に携わった明星大の関満博教授(地域産業・中小企業論)に聞いた。

◎今後の支援のあり方/明星大 関満博教授に聞く

 −二つの震災での企業支援の違いは。
 「阪神大震災で国は個別企業に補助金は出せないとの原則を崩さず、借り入れに対する利子補給しかなかった。東日本大震災では立場を転換。グループ化と銘打って事実上の個別企業への補助を打ち出した。英断だった」
 「グループ化補助金がなければ、これまでに補助を受けてきた(東北や関東などの)約1万の事業者のうち半数は救えなかった。被災地の産業空洞化を防ぐという点で非常に大きな役割を果たした」

 −グループ化補助金のマイナス面は。
 「緊急事業だったため、後継者がおらず廃業を待つだけの事業者にも補助した可能性がある。そういった事業者が過剰に設備投資し、運転資金で苦しんでいる例もあると聞く」
 「ただ、審査を厳格にして時間がかかっていれば、多くの事業者の再建に困難が生じたはずだ。事業の再建は早ければ早いほどいい。大半は必要な事業者に補助できたのではないか。補助事業に批判もあるが、4700億円で1万の事業者が助かったと思えば安い」

 −震災から5年が経過した。今後の被災企業の動向をどうみる。
 「補助金に加え、無利子で20年借り入れができる中小企業高度化資金もあり、復旧が進んだ。この資金の返済猶予は5年間で、震災当初に借り入れた事業者はことしから返済が始まる。一つの転換点になる。債務の返済が始まることで、これまでは少なかった事業者の倒産も出始め、同業種間で合併の動きが加速する可能性がある」

 −これからの支援の在り方は。
 「日本全体で人口減少が進んでいる。東日本大震災で被災した沿岸部は特に顕著だ。経営者の意識改革、後継者の育成が大事になる。将来を見据えた人材育成や事業計画を立てられるよう、国や県は専門家を派遣できる体制を築かなければいけない。ソフト面での支援が重要だ」


2016年02月10日水曜日

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