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<検証地域農業>営農再開まだら模様

復旧工事が終わり、一部で営農が再開される圃場。地場産の余剰ワカメの茎を使った堆肥を活用し、土壌改良に取り組む=宮城県南三陸町歌津

◎宮城88%福島は33%のみ

 東日本大震災から間もなく5年。巨大津波に襲われた被災農地は復旧工事がピークを過ぎ、各地で営農再開が進む。ただ、担い手となる農業の経営体数は大幅に減少。東京電力福島第1原発事故に伴う作付けや出荷制限も続き、営農再開には風評被害など大きな壁が立ちはだかる。(元柏和幸、古賀佑美)

 農林水産省がまとめた岩手、宮城、福島3県の農地復旧状況によると、津波で被災した農地計2万530ヘクタールのうち、7割を超える1万4970ヘクタールが2015年までに営農再開可能な状況に復旧した。地区によっては大区画化する圃場整備も同時並行で行われている。
 津波被害が最も大きかった宮城県は、被災農地の88%に当たる1万2660ヘクタールが復旧。岩手県は約7割の490ヘクタールに達した。
 福島は被災農地のうち、南相馬、楢葉、富岡、大熊、双葉、浪江の6市町の計2120ヘクタールが避難指示区域内にあるため、営農再開が可能になった面積は33%の1820ヘクタールにとどまる。
 岩手、宮城では地盤沈下などで復旧が遅れていた海沿いも、工事は終盤に入りつつある。しかし土不足で石を多く含む山土を入れざるを得ない農地があるなど、営農再開後も土壌改良などの難題に直面している。
 宮城県南三陸町歌津の泊浜地区では今春、圃場13.1ヘクタールの整備が一部完了し、営農を開始する。栄養分が乏しい山土を補うため、ワカメの茎を再利用した有機堆肥を使って土壌改良に挑む。
 同地区は漁業と兼業する農家が多く、かつては余った海藻を農地に捨てて堆肥化させる習慣があった。15年には、出荷できずに余ったワカメの茎を一関市の藤沢町堆肥センターに持ち込み、家畜のふんと混ぜて堆肥約400トンを作った。
 圃場の岩石除去に時間がかかるため、新年度の作付けは3分の1程度になる見通し。大沼営農組合の阿部長喜さん(59)は「新たな取り組みなので、成功するかどうか分からない。試行錯誤を繰り返しながら地域農業を取り戻したい」と話す。


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2016年02月13日土曜日

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