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<検証地域農業>地力回復へ試行錯誤

復旧農地の現状を説明する佐藤さん。水路の整備工事が続き、シカの食害を防ぐ電気柵も張り巡らされている=陸前高田市小友町

 営農再開のトップランナーが、想定を超える地力の低下に直面している。岩手県陸前高田市小友町の農事組合法人「サンファーム小友」は作付け2年目の2015年秋、著しい収量減に見舞われた。

◎震災5年へ(中)本格復旧なお道半ば

 広田半島の付け根にある小友地区は、東西から押し寄せた最大16メートルの津波に農地110ヘクタールが丸ごとのみ込まれた。再起は14年3月。301戸が参加して集落営農型の法人を設立し、市内で最も早く復興へのスタートラインに着いた。
 14年は84ヘクタールの圃場に、市が農業再生のシンボルとして展開する地域ブランド米「たかたのゆめ」やひとめぼれなどを作付けした。10アール当たりの収量は市内の平均を上回る500〜530キロに達し、まずまずの滑り出しをみせた。

<肥切れ著しく>
 変調が訪れたのは15年夏。青々とした稲の成長が7月に入り、ぴたりと止まった。「たかたのゆめ」は前年比170キロ減の360キロまで収量が下がり、500万円の営農赤字になった。
 専務理事の佐藤悦男さん(65)は「高温少雨など天候の影響もあるだろうが、『肥切れ』が明らかだった。復旧農地は2年目が難しいと言われるが、ここまで土がやせていたとは…」と表情を曇らせる。
 東日本大震災の地震で約1メートル沈下した田んぼのかさ上げに三陸道の工事などで出た山土を使い、表土にはがれきが混じった田んぼの土を分別して戻したが、震災前の土壌には程遠かった。作付けを90ヘクタールに拡大する16年は堆肥を多めに入れるなどし、対策を強化するつもりだ。
 佐藤さんは「米価低迷にもかかわらず肥料などの価格は上がっており、採算を考えると厳しい。圃場は30〜50アール区画に整ったが、足元の生産回復はかなり時間がかかる」と思い悩む。
 地力は落ち込み、地割れするなどした用水路は手直しが続く。客土をした復旧農地には岩も混じる。5年近くを経てもなお、険しい道のりが続く。

<前例なき開拓>
 農地復旧を山から切り出した土に頼らざるを得ない宮城県南三陸町。町内の在郷営農組合は15年、畑地でネギ栽培に初挑戦した。だが8、9月の日照不足や大雨による根腐れで生育不良が多発。落胆が広がった。
 県本吉農業改良普及センターなどの現地検討会では、固まりやすい粘土質で有機物が少ない搬入土による水はけの悪さが要因とされた。今後、畑の下層を破砕するなど対応を検討する。
 栄養分がほとんどない復旧農地を改善するため、県は堆肥を通常の3倍投入するなど5年間の土壌改良プログラムにも取り組む。県気仙沼地方振興事務所の佐々木久則南三陸支所長は「前例のない『開拓』のようなものだが、少しずつ豊かな土に変えていくしかない」と話す。(元柏和幸)


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2016年02月14日日曜日


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