宮城のニュース
  • 記事を印刷

<にじいろノート>ハラスメントの無い職場に

絵・伊藤美智子

 私は、初めての職場で、上司から無視や八つ当たりといった嫌がらせに遭いました。仕事上のミスがなくても叱責され、侮辱される「ハラスメント」だったのです。
 「ハラスメント」とは、意図しようとしまいと、その言動が相手を不愉快な気持ちにさせ、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたりする、身体的または精神的な嫌がらせのこと。
 私自身は、嫌がらせをされても「また始まったよ」くらいに捉え、「過去にはもっとつらいこともあった、あれに比べたら大したことない」とさほど深刻には考えていませんでした。
 また、社会経験が浅かったこともあり、「世の中には、嫌なことは山ほどある。きっとこれもよくあることなんだ」と自分に言い聞かせていました。
 そうして何とかやり過ごしていたのですが、その日の嫌がらせはいつもよりしつこく、度を越していました。「やめてください!」。思わず声が出ました。
 周りではたくさんの人が見ているし、さすがにやめるだろうと思ったその時、「いいのか? お前はそんなこと言える立場じゃないだろ。ここ(職場)にいられなくなるぞ」との一言。
 一瞬、思考停止になった後、われに返った私に生まれたのは、「そんな理不尽な!」という怒りではなく、「そうか、自分は何か言える立場じゃないんだ。嫌がらせをされても仕方がないんだ…」という諦めの気持ちでした。
 しかしその日の帰り際、同僚の女性が「私、彼らの態度にはもう我慢できない! 直接本人たちに抗議しようか?」と声を掛けてくれたのです。「あなたは被害者。悪いのは彼らだよ! 一人で我慢しないで。私でよければ相談して」
 誰も頼れないと思っていた私にとって、どれだけ心強く、救われたか。きっと彼女も勇気を出して私に話し掛けてくれたのだと思います。「そうか、私が悪いんじゃない、怒ってもいいんだ」。彼女の言葉をきっかけに、私は少しずつ自分を取り戻し、再び前に進めるようになりました。
 もし今、誰かに嫌がらせをされている人がいたら…。「ハラスメントはされて当たり前なことじゃない。一人で抱え込まずに信頼できる人に相談して。あなたは悪くない」と伝えたい。
 そして、それが仲間だったら、あの同僚のように「私でよければ相談して」と言える自分でいたいとも思っています。
(公益財団法人せんだい男女共同参画財団・小野敏久)


2016年02月15日月曜日

  • 記事を印刷

先頭に戻る