宮城のニュース

<ハンセン病訴訟>差別や偏見 家族も苦しみ

 ハンセン病元患者の家族による集団提訴では、宮城県の50代男性も原告団に加わった。80代の父が東北の国立療養所で暮らす。国の強制隔離政策の違法性を全面的に認めたハンセン病国家賠償訴訟の熊本地裁判決から15年。「苦しんだのは当事者だけではない。深刻な被害を受けた家族の存在も知ってほしい」と参加を決意した。
 男性は療養所の近くで育った。生後すぐ、父が療養所に入所。父は療養所外で働く「労務外出」をしており、母子の待つ家に毎週末、帰宅した。
 父の病気に対する差別や偏見は家族にも向けられた。男性は周囲の子どもに「らい病の子」といじめられ、小中学校では常に1人で過ごした。氷の張った池に突き落とされたことも。男性がいじめを受けるたび、病弱な母が校長や担任に訴えてくれたという。
 10代で母が亡くなり、古里を離れた。父のことを隠して就職したが、妻には結婚前に事情を話した。父と男性の子どもは、ごく普通の「祖父と孫」の関係を築いている。ただ、他県出身の父は親類の反対で、今も表立って里帰りできない。
 集団提訴の動きは昨年末、インターネットで知った。「ずっと苦しんできたし、亡くなったお母さんのためにも闘ったら」。妻の励ましで弁護団に連絡した。
 男性は「人生は取り返しが付かない。お金が欲しいのでもない。ただ、国に誠意ある言葉で謝罪してほしい」と思いを語った。
          ◇         ◇         ◇
 国が長年続けたハンセン病強制隔離政策のため、患者本人だけでなく、家族も深刻な偏見や差別を受けたとして、元患者の家族59人は15日、国に謝罪と計約3億5千万円の損害賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こした。弁護団によると、家族の被害をめぐる集団訴訟は初めて。


関連ページ: 宮城 社会

2016年02月16日火曜日


先頭に戻る