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<三陸沿岸道>ファンとつながる街に

釜石市中心部に開店した「ミッフィーカフェかまいし」。道路網を生かした交流人口の拡大に期待が高まる

◎岩手復興 大動脈北へ(4)人が来る

<ミッフィー効果>
 オレンジやブルーの「ミッフィーカラー」が、ひときわ目立つ。
 東日本大震災からの復興が進む釜石市大町地区。昨年12月、釜石情報交流センターに「ミッフィーカフェかまいし」が開店した。
 オランダ生まれのウサギのキャラクターをテーマにした国内唯一の常設施設。週末はもちろん、平日もにぎわう。子どもを連れた母親や若者グループが、ミッフィーをデザインしたラテやパフェを楽しむ。
 「名古屋や九州などからもファンが足を運んでくれる。ここにしかない店を目指したい」。店長の佐藤貴大さん(23)はミッフィー効果を実感する。
 カフェはオランダ大使館の復興支援の一環で、ミッフィーの作者のディック・ブルーナさんが開設を快諾した。著作権管理会社の担当者は「カフェが県外客と地元の人たちとの交流の場となり、釜石の魅力を感じられる場所になれば幸いだ」と期待を込める。
 交流センター内には1月、160人を収容するライブ施設「釜石PIT」がオープン。隣接地には市民ホールの整備も進む。
 釜石市は将来、三陸沿岸道路(仙台−八戸、総延長359キロ)と東北横断自動車道釜石秋田線(80キロ)の結節点となる。アクセス向上を見越した動きは、娯楽や文化面にも広がる。
 昨年7月には橋野鉄鉱山が世界文化遺産になり、2015年の見学客は前年比約7倍の約4万3000人に上った。19年ラグビーワールドカップ会場の一つにも決まり、海外からの誘客も見込める。
 再び光を放ち始めた「鉄のまち」。市が最優先施策に掲げるのは人口減対策だ。1月の市人口は3万6000。ピークだった1963年の9万2000と比べ、4割に減った。

<密度の濃い関係>
 策定を進める地方創生総合戦略には「つながり人口」という概念を盛り込んだ。一度きりの観光やイベント参加といった従来の交流人口ではなく、密度の濃い関係づくりが目標だ。
 復興ボランティアや全国自治体からの応援職員、リピーター観光客とのつながりを深め、定期的に訪れてくれる「釜石ファン」を確保する。市総合政策課の担当者は「道路網の開通によって、釜石を応援しようという人が増えてほしい」と展望する。
 岩手大農学部の広田純一教授(地域計画・農村計画)は「市外の人が登録できるファンクラブのような組織をつくり、継続的に情報を発信し交流イベントを開く仕組み作りが必要だ」と提言する。
 三陸沿岸道路が18年度に開通率60%となり、高速交通網が整うことも見据え「釜石の集客力を三陸沿岸全体に広げる戦略や視点が欠かせない」と強調する。
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 釜石市が変貌の兆しを見せる。中心部には集客施設が誕生し、釜石港では物流産業の進出が活発だ。大動脈の拠点となり得る港町のいまを見る。(盛岡総局・山形聡子)


2016年02月18日木曜日

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