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津波耐えた山車に別れ 震災後引き手減り

引き渡しを前に倉庫に眠る山車を見つめる富山さん

 東日本大震災で被災した宮城県亘理町の和太鼓グループが、所有してきた角山車5基のうち4基を宮城県利府町と福島県相馬市の住民団体に寄贈する。保管場所を襲った津波に耐えたが、震災後の住民減で引き手が足りなくなった。「新天地で住民を楽しませて」。グループは21日に寄贈式を開き、再生の願いを込めた演奏で送り出す。
 震災前、角山車は港町・荒浜地区で毎年8月に開かれる「わたりふるさと夏まつり」のパレードで巡行した。いずれも高さと長さ約5メートル、幅約2メートル。「倭多里(わたり)道の会」(現・道岳館)が2004年、地元企業から贈られた台車を活用して手作りした。
 巡行の際は、会員や住民ら約300人が角山車に乗せた太鼓を鳴らして漁港周辺を練り歩いた。富山道岳代表(53)は「パレードに参加するため会員の練習に熱が入った」と懐かしむ。
 震災時は保管する倉庫が津波に遭い、台車が50センチほど水没したが、大きな被害はなかった。しかし、60人いた会員の9割が被災。会員は他地区からの加入者を含めても約40人に減った。荒浜地区の人口は震災前の4割になり、山車を組み立てる職人もいなくなった。
 震災後休止していた夏祭りは昨年再開したが、祭りの規模縮小で参加できなかった。「荒浜でもう一度巡行したかったが、震災前からのメンバーと新加入の会員の山車への思いは違う。手放すのは寂しくてつらいが仕方ない」と話す。
 寄贈式には引き取り先の関係者も駆け付ける予定。「必要とされる場所で新たな命を吹き込んでもらった方がいい。震災の犠牲者も喜んでくれるはず」と富山さんは語る。残る山車1基で、祭りへの参加を目指す。


2016年02月19日金曜日

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