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<三陸沿岸道>特性生かした発展が鍵

新しい工業団地の造成が進む大船渡港。各港湾の特性を生かした利用促進策が求められる

◎岩手復興 大動脈北へ(6)港が沸く

<ダブル効果期待>
 海を望む広大な土地で造成工事が進む。大船渡港(大船渡市)東部の永浜・山口地区。埠頭(ふとう)に隣接する面積11.7ヘクタールの工業団地だ。
 岩手県が2016年度中の完成を目指す。埠頭は1994年、国が国際コンテナターミナル化を狙い整備を始めた。07年、県内初の国際貿易コンテナ航路が韓国との間で就航した。
 当初は県内港湾のコンテナ取扱量の8割以上を同港が占めたが、東日本大震災後に航路は休止。港湾の物流拠点は、北に約30キロの釜石港(釜石市)に取って代わられる形になった。
 大船渡市内では既に三陸沿岸道路(仙台−八戸、総延長359キロ)の一部が開通。2カ所のインターチェンジもある。「飛鳥U」など大型クルーズ船の入港も活発だ。
 市港湾経済課の佐々木義久課長は「道路網がつながれば、内陸の企業や気仙沼市からの利用が見込める。貨物の取扱量増加に期待したい」と港の復活に懸ける。
 「岩手の内陸が発展したのは東北自動車道や東北新幹線が要因の一つ。三陸沿岸には港湾があり、高速交通網もできる。ダブルで物流促進の効果が出る」
 2月2日、県が東京で開催したポートセミナーで、講演した東北地方整備局の川滝弘之局長は岩手沿岸の優位性を強調した。
 三陸沿岸道路は18年度に開通率60%。釜石市、宮古市から東北道にそれぞれ直結する横断道路の整備も進めば、交通ネットワークの大転換を迎える。

<ニーズ把握必要>
 沿岸には久慈、宮古、釜石、大船渡の重要港湾がある。県はアクセス条件の改善を機に利用促進の戦略を練る。県港湾課の千葉行有課長は「道路環境が整備されることで、港湾の特徴を生かした色分けができるようになった」と説明する。
 プランには釜石、大船渡両港にコンテナ貨物を集約する方針を盛り込んだ。大船渡港は大型クルーズ船の誘致も積極的に進める。
 18年春に県内初のカーフェリー航路が室蘭との間で就航する宮古港は、貨物や旅客の確保が最重点。バイオマスや風力など再生可能エネルギーの発電施設計画が近隣で進む久慈港は、輸入燃料や資材を運び込む基地として活用を図る。
 東北工業大工学部の稲村肇名誉教授(交通政策論)は「三陸沿岸は道路など陸上交通が不便だったため、同じような規模の四つの港湾が発達した」と成り立ちを解説する。
 利用促進に向けては、荷主となる企業のニーズ把握が不可欠になることを指摘。「陸上交通が便利になれば同じような性格の港湾は不要になる。釜石港は拠点性を高め、ほかの3港は特性を生かすことが必要だ」と予測する。


2016年02月20日土曜日

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