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<検証学びや>寄付減少支援断念も

仮設住宅でシングルマザーの女性(右)にパソコン操作を指導する寝占さん。親の支援は子どもの支援につながる=2日夜、陸前高田市

◎しわ寄せひとり親家庭へ

 東日本大震災の被災地では、縮小の兆しを見せる子どもたちへの支援が家庭に影を落とす。しわ寄せはひとり親家庭など立場の弱い人たちに向かい、行政の手が届きにくい部分を補ってきた民間団体は、企業の寄付の減少などで運営資金の工面に頭を悩ませている。
 「本来は5年、10年先まで活動を続けていく予定でした」。仙台市の市民団体「仙台青い鳥プロジェクト」は昨年12月、岩手、宮城、福島3県の高校生らに1人100万円の進学支援金を出す活動を終えた。団体のブログには打ち切りの無念さがつづられている。

<手弁当に限界>
 全国からの寄付金を原資に2011年から33人に支援金を提供して進学を後押しした。ただ法人でないため行政の助成は受けられず、大口寄付を見合わせる企業も出てきて資金調達が難航。活動継続を断念した。
 代表を務めた早坂照夫さん(71)は「『親に迷惑を掛けられない』と進学を諦める子は今も多いが、手弁当の支援には限りがある」と唇をかむ。
 「震災5年の節目が、被災地に関心を持ってもらう最後のチャンスかもしれない」。被災したシングルマザーらを支援するNPO法人マザーリンク・ジャパン(東京)の寝占(ねじめ)理絵代表は震災の風化に強い危機感を抱く。活動費を賄う個人や企業の寄付、助成金が年々集まりにくくなっている。

<綱渡りの事業>
 「子の支援には親の経済的自立が不可欠」と、陸前高田、大船渡、気仙沼各市のひとり親家庭約200世帯を訪問して食料を提供し、就労を支援。シングルマザーには中古パソコンを支給して使い方を指導し、企業から受託したデータ入力などを担ってもらう在宅ワーク事業を実施している。
 陸前高田市の仮設住宅で中学生と小学生の子2人と暮らす女性(40)は夜間や休日に入力作業を行い、パート収入を含め月8万円前後を得る。女性は「子どもに高校だけは行かせてあげたい。母子家庭は簡単に借金もできず、こうした支援はありがたい」と話す。
 ひとり親の期待は大きいが事業は綱渡りだ。4月以降に活動を支援してくれる企業・団体は見つかっていない。寝占代表は「資金がなければスタッフも雇えない」と焦りを募らせる。
 「子どもの支援は今後もまだまだ必要」と言うのはNPO法人キッズドア(東京)の渡辺由美子理事長。宮城県南三陸町の志津川中や仙台市で放課後の学習支援や見守り活動を続ける。
 学習支援は行政の委託だが、委託費は減額続き。経済的に苦しい家庭の中高生向けに仙台市で開く無料講座は企業の助成金頼みだ。厳しいやりくりが続く。
 昨年秋、無料講座を受けていた中学3年生の母親(39)が病死した。ひとり親家庭で被災。母親は家計を立て直そうと懸命に働き、がんが見つかったときには手遅れの状態だった。
 渡辺理事長は「今になって深刻度が増したケースもある。子どもの支援を従来と異なる枠組みで考える必要がある」と指摘する。(若林雅人、古賀佑美)


2016年02月20日土曜日

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