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<検証学びや>学校と地域 連携が鍵

地域住民を屋上に誘導する荒浜中の生徒。校舎が地域の防災拠点になっている=2015年6月、宮城県亘理町

◎態勢築く時間ない現場も

 東日本大震災を踏まえ、地域との連携が防災教育の鍵になっている。震災時、学校は避難所となり、子どもや住民らの対応に追われ混乱した。大規模災害の発生に備え、学校と地域が手を携える動きが広がるが、態勢づくりは課題も残る。

 宮城県亘理町の荒浜中で昨年6月にあった総合防災訓練。「気を付けて階段を上って」。3年生が地元のお年寄りに優しく声を掛け校舎の屋上へと誘導した。

<防災教育で表彰>
 海から約700メートルの場所にあった校舎は津波で被災した。1階部分を柱だけの構造にして2014年8月に再建された。津波再来に備えた高床式造りで、地域の命を守る防災拠点になる。
 訓練前には入念に準備した。町の防災担当者や行政区長、教諭らが何度も協議を重ねた。訓練後も話し合いの場を定期的に設け、「次」に備える。豪雨や突風など地区ごとに災害を想定した取り組みを今後進める考えだ。
 防災主任の高橋健一教諭は「日頃から顔が見える関係を築くことが大切だ。地域とより強い連携が求められる」と話す。
 住民は訓練を通じ、非常時に太陽光発電を使えることや、備蓄品がある場所などを知った。同校は本年度、優れた防災教育に取り組む学校・団体をたたえる「ぼうさい甲子園(1.17防災未来賞)」で表彰された。
 同県内陸部にある川崎町富岡中は昨年8月、「生徒が大人になった時」との想定で防災キャンプを実施した。生徒を将来の地域防災の担い手と想定し、知識とノウハウを身に付けてもらう狙いだ。
 3年生が指示を出し、地域住民と一緒に段ボールの簡易ベッドを作ったり非常食の調理を手伝ったりする実践的な訓練をこなした。
 ただ地域との連携は手探り状態という学校は多い。
 宮城県南部の防災担当主幹教諭は「授業や部活もあり防災に割ける時間は1割以下だ」と打ち明ける。「周辺の行政区や企業と連携したいが、態勢をつくる時間が足りない」と嘆く。
 県教委は新年度、防災にいじめや不登校対策も含めた担当主幹に改める方針だ。現場には「防災力向上に充てる時間がますますなくなる」との不安が広がる。

<学校が調整役に>
 誰が学校と地域との連携をリードするのか。ある公立小学校長は「学校、地域、行政が同じ意識でないと話が進まない。学校だけでは限界がある」と指摘する。一方で「学校が調整役になって地域と連動した動きをつくっていくのが効率的」とみる関係者もいる。
 仙台市仙台大志高(宮城野区)は、13年から住民向けに防災だよりを継続的に発行して啓発に一役買うほか、地元町内会と一緒に避難所開設訓練に取り組む。1月には、仙台管区気象台と町内会が開いた防災ワークショップに協力した。
 金沢隆志校長は「小回りが効き、横のつながりをつくりやすい学校が動くと物事は早く進む。災害時の混乱は避難所となる学校への影響も大きく、地域の防災力を高めることは学校防災向上にもつながる」と話す。(田柳暁)


2016年02月21日日曜日

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