福島のニュース

<原発事故>再開 GS「俺がやらなきゃ」

給油作業に追われる渡辺さん。顔見知りの作業員が増えた=4日、福島県浪江町
店の前にお品書きを出す木場さん。通りには高級飲食店が立ち並ぶ=3日、東京都港区赤坂

 福島県浪江町は東京電力福島第1原発事故で全町避難を余儀なくされ、双葉郡随一の規模を誇った商店街も崩壊した。古里を追われた商店主らを訪ねた。

 給油する車両は1日1000台。無人の町に渋滞ができる。
 福島県浪江町の商店街で2014年7月、ガソリンスタンド「渡辺商店」は営業を再開した。常務の渡辺良一さん(53)が無駄のない動きで給油や車の補修に当たる。
 福島第1原発1号機が危機的状況に陥った11年3月12日早朝、避難を促す防災無線が聞こえた。避難しようとすると、店の前に長蛇の車の列ができていた。
 「お願いだ。売ってくれ」。住民たちは殺気立っていた。「自分だけ逃げるわけにいかない」。正午すぎ、最後の1台が去っていくまで給油を続けた。
 13年4月に避難区域が再編されて日中の事業再開が可能になったが、渡辺さんは戻るつもりはなかった。生まれ育った埼玉県所沢市に移り、古巣の運送会社で働いていた。
 14年1月、建設会社の知り合いから電話があった。「避難区域で給油できる店がほとんどなく、復旧作業に支障が出そうだ」
 久しぶりに町内へ一時帰宅し、除染や工事の車両が頻繁に行き来しているのを目の当たりにして、目が覚めた。「給油はパン屋にもパーマ屋にもできない。俺がやらなきゃいけない仕事だ」。再開準備を始めた。
 あまりの忙しさに逃げたいと思うことがある。復旧関連の需要もいつまで続くか分からない。渡辺さんは「流れに身を任せるしかない」と笑い、駆け足で仕事に戻った。


2016年02月22日月曜日


先頭に戻る