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<北海道新幹線>青函トンネル 安全大丈夫?

避難訓練で、竜飛定点の連絡誘導路を通って反対側のホームの救援列車に向かう参加者=9日午前2時20分ごろ

 3月の北海道新幹線開業を控え、JR北海道などが初めて新幹線車両を使って青函トンネルで実施した9日の避難訓練で、停電トラブルのため救援に向かった列車が立ち往生した。原因はマニュアル不備による操作ミスで、安全管理の不徹底が明らかになった。在来線との共用という特殊事情を抱えるトンネル内の安全対策は大丈夫なのか。(青森総局・横川琴実)

<深夜数時間のみ>
 9日のトラブルは、マニュアルの不備で手動による送電切り替えが行われなかったことが直接の原因。救援列車が逆走を始めたところで停電してしまった。
 通常は左側走行の新幹線で、右側線路を逆向き走行できるシステムの救援列車は、有効な避難手段として期待されていた。
 新幹線を途中で逆走させたのは9日が初めて。青函トンネルを含む共用走行区間での訓練運転は在来線が運行していない深夜から未明の数時間に限られる。短時間で貨物列車との擦れ違い訓練などにも取り組むが、開業までに十分な訓練ができるか不安は残る。
 JR北海道によると、トンネル走行中に火災などが起きた際は、走り抜けて車両をトンネル外へ出すことが原則。ただ、青函トンネルは全長53.85キロと長い。トンネル外まで運行が難しい場合、消火設備と避難所がある竜飛定点(旧竜飛海底駅、青森県外ケ浜町)か吉岡定点(旧吉岡海底駅、北海道福島町)で停車する。

<定点到着に時間>
 乗客は連絡誘導路を通って反対側の線路から救援列車に乗るか、各定点にあるケーブルカーで地上に避難する。定点以外で走行不能となった場合は、救援列車を横付けして乗り移るか、列車から降りて徒歩で定点まで移動することになる。
 訓練では救援列車が10分ほどで到着したが、実際の非常時にどのくらい時間がかかるかは不透明だ。警察や消防関係者も訓練では、救援列車に乗車して現場に来たが、実際の事故時は、地上から各定点に駆け付けることになる。
 定点に最も近い青森地域広域消防事務組合中央消防署今別分署(青森県今別町)から約30分、外ケ浜警察署からは約1時間。定点に到着しても、トンネルまではケーブルカーでさらに5〜10分かかるという。
 青函トンネルでの客を乗せた車両トラブルは昨年4月にも起きた。特急から煙が発生し、竜飛定点から1.2キロ離れた地点で停車。乗客124人がトンネル内を定点まで歩き、ケーブルカーで全員が地上に出るまで5時間以上を要した。

<飲料水など配備>
 JR北海道は、トンネル内の避難設備の拡充に力を入れる。定点のベンチを400〜500人分に増設、新幹線の定員を上回る800人分の防寒シートや飲料水などを配備する。19日からは緊急時にホーム、避難所、ケーブルカーで携帯電話が使えるようになった。ケーブルカー定員も23人から38人に増やす。定点以外の4カ所の斜坑にも仮設トイレやいす、非常放送設備などを整備し、階段を使った乗客の避難も想定する。
 青森県の千葉耕悦新幹線・並行在来線調整監は「昨年の発煙事故以来、安全対策を重ねたが、9日の訓練はうまくいかなかった。緊張感を持って取り組んでほしい」と要望する。
 17日に青森市であった会議で、JR北海道の森雅裕新幹線計画部長はトラブルを陳謝し「(開業までに)係員の再教育を行い、再発防止に努める」と述べた。

[共用走行区間]青函トンネルを含む約82キロ(青森県外ケ浜町−北海道木古内町)の線路を新幹線と在来線が共用する。新幹線と在来線の使用電圧は異なる。新幹線開業後、この区間を走る在来線は、JR貨物の新型機関車EH800形式(複電圧仕様)のみになる。走行試験時は札幌の指令センターで電圧を切り替えた。完全切り替えは在来線の旅客列車が走行しなくなる3月22日未明。トンネル内では、擦れ違い時の風圧による荷崩れなどを防止するため、新幹線は在来線と同じ時速140キロで走行する。


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2016年02月23日火曜日

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