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<十和田湖遊覧船>景勝地に船放置の懸念

 遊覧船事業を廃止した十和田湖遊覧船企業組合(青森県十和田市)の今後の動向を、行政や観光関係者らが注視している。焦点の一つは遊覧船の行き先だ。企業組合は多方面に債務を抱えており、湖に係留中の5隻が、十和田八幡平国立公園を代表する景勝地に放置されかねない懸念が出ている。
 船舶登記などによると、企業組合は運航していた第5十和田丸(268トン)、奥入瀬丸(254トン)、シーガル3号(13トン)のほかに、第3十和田丸(349トン)と第6十和田丸(317トン)を所有している。
 うち大型汽船4隻は、2013年に経営破綻した青森市の運航会社などから14年5、6月に購入。比較的新しい「第6」は1995年6月、最も古い「第3」は72年9月に進水した。
 廃止届を受理した東北運輸局や環境省、青森県などが警戒するのが船舶の行方。遊覧船が停泊する宇樽部地区は、プレジャーボートなども係留され、地元の観光関係者は「放置されれば宇樽部が船の墓場になる恐れがある」と不安視する。
 企業組合の実質オーナー日向義孝理事長代行はこれまで「(組合が)駄目だったのは自分の力不足。年度末までに清算し、別の人に事業を引き継ぎたい」と言及していた。しかし、従業員の一人は「乱脈経営を続け、労使の対立を生じさせてきた理事長代行の下では誰も働かない。企業組合を放置して逃げる気なのではないか」といぶかる。
 旅客船の寿命は30〜40年程度と言われる。メンテナンスに多くの費用が掛かるといった理由から、後継の事業者が見つからずに船が放置されれば、景観を損なうばかりか撤去も困難になる。元従業員の話では、大型汽船の解体費は最低でも1隻300万円は掛かる。
 県は「未納の桟橋使用料を請求するとともに、無許可で係留している状態を解消するよう働き掛けてきた」(港湾空港課)が、湖だけに全く別の場所に移動するのが難しいのも事実だ。
 青森運輸支局は「最後まで所有者責任を果たすよう、実質オーナーを指導していく」と強調。東北地方環境事務所十和田自然保護官事務所の担当者は「国立公園の自然環境上、影響が生じるのはよくない。放置されないよう、関係機関と連携を図る」と語った。
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 賃金未払いなどの問題から来期の運航を休止した十和田湖遊覧船企業組合(青森県十和田市)が、定期航路事業の廃止届を東北運輸局青森運輸支局に提出したことが23日、分かった。経営破綻した運航会社の従業員が始めた遊覧船事業は、復活から1年半で幕を下ろすことになった。


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2016年02月24日水曜日


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