岩手のニュース

<高田診療所>被災者ケア4年半、3月閉鎖へ

カウンセリングを含めた診療で被災者をケアする心療内科医=陸前高田市

 岩手県医師会が東日本大震災後、岩手県陸前高田市に開設した週末診療の高田診療所が3月末で閉鎖される。医師会が役目を終えたと判断した。診療科のうち心の不調をケアする心療内科は、震災からほぼ5年たっても受診者が絶えない。4月以降は県立高田病院が引き継ぐことを決めている。
 高田診療所は2011年8月に開業。同10月に設けた心療内科は、カウンセリングや投薬など心身両面の診療で不調の原因を和らげたり、取り除いたりする。
 昨年12月までの診療所全体の受診者は約2万7000人。うち心療内科の延べ受診者は約2500人と9%余りを占める。14年は667人、15年は592人が受診した。
 高田病院の田畑潔院長は「5年が経過してもケアを必要とする人は一定数いる。仮設の病院でスペースやスタッフは厳しいが、可能な限り対応する」と引き継ぐ意義を説明する。
 市内の仮設住宅に住む女性(77)は1年ほど前に夫を病気で亡くし、将来への不安から不眠を訴え心療内科に通い始めた。
 「内科だと薬の治療だけ。心療内科は先生が話を聞いてくれるので精神的に軽くなった。廃止されたら自分で我慢するしかないので助かります」と存続に安堵(あんど)する。
 昨年11月に盛岡市であった日本心療内科学会のシンポジウムでは「妻を亡くし、張り詰めた気持ちから腹痛や下痢が続く」「自分だけ被災していないのがつらく、眠れない」など被災地の症例が報告された。県内の心療内科医は「震災による環境変化で不調を訴える人はいまも多い」と実態を強調した。
 県立高田病院で診療は続くが、態勢は厳しい。心療内科医はもともと少なく、岩手県内でも十数人、沿岸にはほとんどいない。現在は県内外の医師が交代で派遣されているが、4月以降は平日診療となるため、開業医の協力は得にくくなる。
 高田診療所への応援医師の調整役を担い、診察にも出向く岩手医大の鈴木順准教授は「これまでより少ない人数で対応せざるを得ず、永続的な診療は難しい。態勢を維持しつつ、被災地で受け継ぐための支援も考えなければならない」と話す。


関連ページ: 岩手 社会

2016年02月24日水曜日


先頭に戻る