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<災害公営住宅>前にマンション 被災者困惑

目の前で高層マンションの建設工事が進むあすと長町の災害公営住宅=12日、仙台市太白区

 仙台市太白区あすと長町の災害公営住宅の目の前で、高さ約80メートルの高層マンションの建設が急ピッチで進んでいる。「日光が当たらなくなる」と被災者は心配するが、商業地域に建つマンションに違法性はなく、市も静観の構えだ。東日本大震災から5年。新生活へ一歩を踏み出した被災者たちは、複雑な思いで日々の工事を見守っている。
 この災害公営住宅はあすと長町復興公営住宅。高さ約40メートル、地上13階で全戸南向き。JR長町駅から徒歩約10分、市立病院やスーパーが隣接する好立地で、一般抽選は約5倍だった。昨年4月に入居が始まり、現在163世帯が暮らす。
 高層マンション(345戸)は昨年11月に着工し、完成予定は2017年11月。地上24階、高さ約80メートルと災害公営住宅の約2倍あり、災害公営住宅南方向の眺望はほぼ遮られる。
 マンション完成後、日照時間が最も短い冬至には、災害公営住宅の日照時間(午前8時〜午後4時)は最長6時間、最短で1時間になるという。窓側の面積の約3割が3時間以下になる見込みだ。
 災害公営住宅、マンションとも商業地域に建つため日照に関する法的規制がなく、建築基準法に基づく審査も全てクリアしている。昨年12月には災害公営住宅の入居者の求めに応じ、説明会も開いた。一部を13階建てにするなど日照への配慮もしたという。
 被災者は入居決定後にマンション建設計画を知ったといい、受け止め方はさまざまだ。
 冬至の日照時間が3時間以下となる丸山房子さん(75)は「事前に計画を知っていれば入居しなかった。市は、反射板を設置するなど日光が当たるような対策をしてほしい」と要望する。
 高層階に住む北村敏子さん(74)は「市街地に建設された災害公営住宅のせいで日陰となった地域もあり、マンション建設は仕方がない。窓から見える最後の桜を目に焼き付けたい」と話す。
 仙台市復興公営住宅室の石川由紀夫室長は「法的に問題がない以上、建設中のマンションに『注文』をつけることはできない」と説明する。
 マンションの担当者は「地域住民の求めに応じ、説明会を開き、ご理解をいただいている。不明な点があれば今後も丁寧に対応したい」と話している。


2016年02月25日木曜日

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