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<アーカイブ大震災>行き場なく悪臭、ハエ

多賀城二中(奥)の隣接地にうずたかく積まれたがれきの山=3日、多賀城市南宮

 東日本大震災による津波で市内の3分の1が浸水した多賀城市では、被災を免れた内陸部の学校の近くにも、がれきが積み上げられている。市内にまとまった仮置き場の場所を確保できないための緊急措置だったが、震災発生から4カ月近くたった今も、2次仮置き場への搬出のめどは立っていない。梅雨に入って蒸し暑い日が続き、臭いや虫の発生も目立つようになった。児童、生徒は我慢を強いられながら学校生活を送っている。

◎学校で何が(6)隣接地にがれきの山(多賀城)

 多賀城市南宮の多賀城二中前の路上に時折、生ごみの腐ったような臭いが風に乗って流れてくる。思わず息を止めるほどの強い臭気だ。
 悪臭の出どころは、がれきの緊急仮置き場となっている三陸自動車道多賀城インターチェンジの予定地。多賀城二中の東隣にあり、2ヘクタールの土地に可燃物や木材、古タイヤが野ざらしとなっている。
 「臭いがきつくて授業中も窓を開けていられない。暑くて集中できない」。下校途中の同中1年の男子生徒(12)はそう言って顔をしかめた。
 辺りではハエも飛び交う。「給食にたかってうるさい。早く何とかしてほしい」と男子生徒は語気を強める。
 喉の痛みやせきを訴える生徒も出ているという。学校側はマスクを2枚ずつ配布した。

 「ここに置くの?」。同中に次男(13)が通う佐藤三千代さん(41)は5月、校舎の隣に現れたがれきを見て驚いた。「粉じんと一緒に体に悪い物質が出ているのではないか」と気をもむ。
 学区内の地区懇談会では、悪臭や粉じん対策、今後の見通しについて、保護者らから質問が相次いだ。
 「危ないものは子どものそばに置きたくない。何が運ばれてきているのか、それが安全かどうか知りたいが、保護者には一度も説明がない」。地区懇談会に出席した40代の女性は、市や学校の対応を批判する。
 鈴木啓二郎校長は「仮置き場は当初、8月いっぱいと聞いていた。震災の現状を考えれば致し方ない」と説明する。
 多賀城市では家屋、家財、車両など計61万トンの災害廃棄物が発生した。市の面積は約20平方キロと狭く、仮置き場となるまとまった土地の確保が難しい。市内に12カ所ある仮置き場のうち、3カ所が学校近くにある。
 市生活環境課は「学校や住宅地の近くには置きたくないが、他に場所がない」と頭を抱える。

 宮城県による2次仮置き場の整備は大幅に遅れている。市は仮置き場に消毒剤や消臭剤を散布、分別などの中間処理を進めるとともに、津波の浸水域に土地を確保して可燃物の移動を始めた。
 「しばらくは様子を見るしかないのかな」。佐藤さんは理解を示す一方で、「いつまであの状態が続くのか、市は広報誌やホームページで情報を出してほしい」と注文を付ける。
 JR東北線国府多賀城駅近くの城南小。線路北側の市中央公園、多賀城跡あやめ園が仮置き場となっていて、がれきを運ぶ大型車が通学路の周辺を行き来する。
 「できれば、すぐに撤去してもらいたい」と石川敏彦校長は本音を漏らす。 心配しているのは、安全性や衛生面の問題だけではない。
 同小には津波で親を亡くした児童がいる。「いつまでもがれきを目にすることで、子どもの心が落ち着かないのではないか」とおもんばかる。(伊東由紀子)


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2016年02月25日木曜日


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