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<再生の針路>気仙沼/被災宅地の活用が鍵

津波で被災した住宅跡地が広がる。有効な土地活用策を見いだすことが課題だ=気仙沼市松崎片浜
菅原茂市長

◎震災5年 被災地の首長に聞く(3)菅原茂市長

 −東日本大震災からの復興状況をどう見るか。
 「住宅再建も産業再生も歩みは想定より1、2年は遅い。海と山が入り組んだリアス海岸地形のため、震災直後から用地の確保に苦しんだ。3月までに防災集団移転宅地910区画は97%の887区画、災害公営住宅2133戸は32%の681戸が完成する」
 「産業の核となる水産加工業の集積2地区も、地盤沈下した土地をかさ上げする造成が昨春完了した。市民や業者には辛抱させてしまったが、ことしは被災者の住まいが落ち着いて工場の再建、稼働が相次ぐ」

<企業誘致進める>
 −市が進める土地区画整理事業3地区は仮設住宅からの住宅再建世帯数が計81戸にとどまり、復興まちづくりに不安が生じている。
 「どのような街になるのか再度、関係者の意向を把握したい。商店を再建する人々は心配していると思うが、3地区で災害公営住宅計679戸を先行して建てており、ある程度の来客の目算は立つはずだ」

 −一番の市政課題は。
 「集団移転に伴い、市が買い取った被災宅地は105.6ヘクタール(東京ドーム約23個分)に上る。具体的な用途が決まっていない土地が多い。雑草が生えるなど環境悪化の懸念があり、土地の維持管理は国の復興交付金を使えるよう求めているが、認められていない」
 「三陸沿岸道路が延伸すれば交通アクセスは改善する。市内には企業誘致できる団地がない。新年度は買い取った被災宅地を活用し、多様な企業を呼び込める団地形成を検討する」

 −どんな企業の誘致を考えているか。
 「気仙沼市魚市場の昨年の水揚げ額は全国6位に輝いた。三陸トップの水産都市として生き残る手は打ってきたが、水揚げ量は震災前の75%。先行きに不安もあり、水産業以外の産業の誘致、創出を図らないといけない。復興支援に入る人々や中央の企業の力を借りなければならない」

<交流人口増に力>
 −加速する人口減少にどう向き合うか。
 「交流人口の拡大に力を入れる。国が推進する地域主体の観光マネジメント組織『日本版DMO』を取り入れ、戦略的に観光誘客に取り組む。震災後に観光プラットホーム組織もできており、下地はある」

 −市はJR気仙沼線のBRT化に対する結論を保留し、JR東日本に観光振興策などを求めている。
 「JR東に踏み込んだ協力を求めているが、どんな振興策がいいのか市として検討すべき点も多い。もう少し時間がかかる」
(聞き手は気仙沼総局・高橋鉄男)


2016年02月26日金曜日

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