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<山形大生死亡訴訟>市長が遺族と面会、謝罪

記者会見する佐藤市長

 佐藤孝弘山形市長は25日、臨時記者会見を開き、119番山形大生死亡訴訟で和解した男子大学生の遺族らと面会し、「救急車の不出動は適切な判断ではなかった。出動させるべきだった」と語り、謝罪したことを明らかにした。
 山形市が救急車を出動させなかった判断の誤りを認めたのは今回が初めて。市川昭男前市長時代の訴訟では、市消防本部の通信員の対応に落ち度はなかったとして、遺族側と争った。
 佐藤市長によると、亡くなった大久保祐映さん=当時(19)=の出身地、埼玉県熊谷市で20日に母親ら遺族と面会。大久保さんの墓前で再発防止を誓った後、救急救命体制の改善策を1時間以上説明した。母親は「今後の再発防止策を見守りたい」と語ったという。
 遺族側の代理人を務めた藤木孝男弁護士は河北新報社の取材に対し「山形市の対応にはこれまで納得がいかなかったが、今回は誠意ある行動だったと思う。これからの救急救命体制の改善に期待する」と話した。
 佐藤市長は記者会見で、「(就任後に)119番のやりとりを検証したが、救急車を出動させるのが望ましく、大いに反省すべき点があったと考える。今後、救急要請があれば必ず出動させる。消防職員への指示も徹底する」と強調した。
 「(提訴直後に)消防職員の対応は『適正な業務の範囲内』と主張したことが問題。(救急要請は)原則出動という意識が組織として足りなかった」と指摘。前市長時代から一転、対応の誤りを認めた理由について「組織改善の出発点になると考えた」と説明した。
 佐藤市長は昨年9月に就任後、救急車不出動の検証に着手。消防職員への聞き取りなどを進めたが、大久保さんの119番に対応した通信員への聴取は行わなかったという。医療従事者や弁護士らを委員に検討会を設置し、救急救命体制の充実を図る方針も示した。

[119番山形大生死亡訴訟]山形大理学部2年大久保祐映(ゆうは)さん=当時(19)=の母親が2012年6月、山形市に損害賠償を求めて提訴した。最終的な請求額は約1億800万円。訴えによると、大久保さんは11年10月31日早朝、市内の自宅アパートから119番して救急車を要請。市消防本部の通信員は自力で病院に行けると判断し、救急車を出動させなかった。大久保さんは9日後、自宅で遺体で発見された。訴訟は15年3月、市が解決金1500万円を支払い、本件を教訓として重く受け止め、事案を市消防本部の職員研修に採り入れることなど、3項目を柱にした内容で和解が成立した。


2016年02月26日金曜日


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