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<杜の都のチャレン人>高校生らの理解促す

NPO法人ハーベストの講師同士のキャリアセミナーで話す江部さん=仙台市青葉区中央市民センター

◎障害者としての体験を講演する/江部葵森さん(27)

 自分に障害があることを人前で明かすなんて、高校生のころまでは考えもしなかった。
 「経験を語ることで障害に対する理解が深まるならば」。そんな思いで2年前、NPO法人ハーベスト(仙台市)のキャリアセミナーの市民講師に登録。高校に出向き、昨年度は5校、本年度は既に8校で車座形式の講話をした。
 発達性言語障害。就学前にそう診断された。知的障害はないが、「聞く」「話す」の習得が困難な学習障害(LD)だという。今も会話が複雑になると理解するのが難しくなるなど、コミュニケーションに苦手な部分がある。
 小学生の時は楽しく過ごしたのに、中学でいじめの標的になった。高校では教諭が個別に小論文や面接の指導に力を入れてくれた。ただ、同級生に障害のことを話す気にはなれなかった。
 大学2年の初夏、ゼミで初めて自分の障害を告白した。「外見からは障害が分かりにくい。話の行き違いで関係がぎくしゃくするのを避けよう」と考えたからだ。4年時には大学の授業で体験を語った。共に福祉を学ぶ仲間は授業やサークル活動でずっとサポートしてくれた。「どんな目で見られるか不安もあったけど、もっと早く話しておけばよかったと思う」と笑顔で振り返る。
 卒業後は一般企業の就職も考えたが、学んだことを生かそうと福祉の道を選んだ。2013年3月からホームヘルパーとして障害者の生活支援を担い、社会福祉士の資格も取得。スキルアップを図り仕事の幅を広げることを目指す。
 講演では「障害の特徴はそれぞれ違う。その人に合った関わり方をしてほしい」と語り掛ける。受講後の感想文に同様の障害があることを打ち明ける高校生もいる。
 「親や先生とは違う立場で接することで役に立ちたい」。多くの人に支えられた恩返しの気持ちも、強く感じている。(い)

<えべ・きしん>88年東京都生まれ。東北福祉大社会福祉学科卒。NPO法人「地域生活オウエン団せんだい」の非常勤ヘルパー。社会福祉士として昨年4月から仙台市障害支援区分判定等審査会委員も務める。仙台市泉区在住。


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2016年02月27日土曜日


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