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<国勢調査>東北に再生のヒント

 2015年国勢調査は、日本の総人口が増加から減少に変わる歴史的な転換点となった。東日本大震災で人口減少が加速した東北には、本格的な人口減時代を迎えた日本を再生するヒントがある。
 既に年間出生数は1973年の約209万人から減少傾向が続き、100万人割れが目前となっている。このタイミングで総人口が減少に転じたことは、戦後のベビーブームや平均寿命の伸びが積み上げた「貯金」が底を突いたことを意味する。国立社会保障・人口問題研究所は2060年の人口が8674万人になると推計する。
 女性1人が生涯に産む子の数を示す合計特殊出生率は14年が1.42。人口増減のない状態を保つ出生率は日本では約2.1とされる。政府が掲げる「希望出生率1.8」が25年に達成され、35年に2.1に上昇しても、人口は95年の約9500万人まで減る。
 人口減には過疎、衰退という暗いイメージがある。明治の富国強兵以来、人口は国力の象徴だった。もはや人口増に国力を求める環境にはない。日本社会は少子高齢化を伴う人口減に、数世代にわたって直面する可能性が非常に大きい。
 21世紀をバブル崩壊後の「失われた10年」「失われた20年」に続く「失われた世紀」にしないためには、人口減の中でも将来を悲観せず、安心して暮らせる「適少社会」の実現が不可欠だ。政府、地方自治体、国民が英知を尽くさなければならない。人口増を是とした経済、国土整備の在り方、豊かさの価値基準も見直す必要があるだろう。
 東北6県の総人口は00年国勢調査以降、4回連続で減少した。自治体によっては半世紀以上、活性化に試行錯誤してきた歴史もある。東北は人口減に付きまとう負のイメージを転換するための経験を積み重ねてきた。(解説=報道部・中島剛)


2016年02月27日土曜日


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