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<再生の針路>塩釜/水産業 販路広がらず

塩釜市港町地区で建設が進む津波避難デッキ。津波で被災した港周辺は新しい街が姿を見せつつある
佐藤昭市長

◎震災5年 被災地の首長に聞く(5)佐藤昭市長

 −災害公営住宅の整備状況は。
 「計画する419戸に対し、2015年度末で入居できるのは40%にとどまる見通しだ。集中復興期間が終了する時点で70%を目指したが、遅れている。入札不調や土地造成の遅れなどが響いた。仮設住宅での生活を強いられている方々には大変、申し訳ないと思っている。16年度中にはほぼ入居できるようにしたい」
 −震災で大きな被害を受けた浦戸諸島の復興の現状はどうか。

<駅前に新たな顔>
 「漁港の護岸復旧と防潮堤の整備を進めているが、野々島では、住民が防潮堤の高さを低くするよう求めている。地元の声にどう応えるかが課題だ。災害危険区域で買い取った宅地をどう有効活用するかも難しい問題だ。桂島では湿地や池があり、一体開発が難しい。全体を盛り土してサッカー場やコミュニティー広場を整備する絵を描いたが、復興交付金事業として国に認めてもらえなかった」
 −産業の復興についてはどうか。
 「基幹産業の水産加工業は苦戦している。震災復興関係の補助金を活用して工場を新設し、増産する体制を整えても、肝心の販路が広がっていない。出荷額は震災前の7割にとどまっており、まさに復興は道半ばというのが現状だ」
 −復興まちづくりの進行状況をどう見ているか。
 「JR本塩釜駅前の海岸通地区の市街地再開発は新たな街の顔となる。16年度中に着工できる見通しだ。北浜、藤倉の土地区画整理事業も16年度中にほぼ完成する。魚市場の全面リニューアルも進んでいる。もう少し工事が進めば、変貌を遂げる街の様子を市民に見てもらえると思う」
 −5年を経て浮上した最大の課題は何か。

<人材確保が課題>
 「人手不足を痛感している。国の三位一体改革で施設やインフラ整備を削減し、技術系職員の採用を減らしたところに大震災が起きた。復興事業は技術系の職員がいないと進まない面がある。全国の自治体に派遣してもらっているが、今後も人材を確保できるかどうか、気掛かりだ」
 −復興の状況を現時点でどう評価するか。
 「災害公営住宅の建設が遅れているので、70点というところではないか。塩釜の場合、復興に10年はかけられない。復旧・復興事業を最優先で進めており、着地点は見えてきた。一方、福祉や学校教育の充実、子育て支援などやらねばならないことが宙に浮いている。方向性を明らかにしないといけない」(聞き手は塩釜支局・山野公寛)


関連ページ: 宮城 社会 再生の針路

2016年02月28日日曜日


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