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震災とがん…被災地の女性2人モデルに落語

モデルになった(右から)熊上さん、鈴木さんと、エピソードを語って笑い合う樋口さん(左)=大船渡市

 悪性の肺がんと闘う東京の落語家樋口強さん(63)が、東日本大震災とがんを乗り越えた岩手県大船渡市の女性2人をテーマに作った落語を収めた「津波もがんも笑いで越えて」を東京新聞から出版した。同市で28日、報告会があり、モデルになった女性も参加して交流を深めた。

 樋口さんは2001年から、がん患者とその家族を招き、闘病を題材にした創作落語を披露する「いのちの落語独演会」を開催してきた。震災後の12年12月に大船渡市三陸町綾里の仮設住宅で独演会を開いたのがきっかけで、がんを経験し震災で家や家族を失った鈴木ツマさん(87)、熊上渚さん(35)との交流が始まった。
 「がんはつらい、津波は悔しい」との鈴木さんの一言に衝撃を受けた樋口さんは「異なる二重の苦難を抱えながらも生きる2人の姿を落語にして、全国に伝えよう」と決めた。
 2年以上にわたって取材を重ね、治療や震災を乗り越えたエピソードに笑いをちりばめた落語「いのちの落語−あの日を忘れない」を創作した。本では2人の闘病の様子や被災後の暮らしぶりも紹介している。
 報告会ではCDで落語を上演。2人の家族や関係者も交え、落語に盛り込まれた場面などを語って笑い合った。
 子ども2人と出席した熊上さんは「大変だったが、楽しい5年でもあったことが1冊に凝縮された。同じように苦しむ人の希望になればいい」と振り返った。
 樋口さんは「年50回ほどの公演の中で披露したい。同情するだけでなく、力強く立ち上がっていることも全国に知ってほしい」と話した。
 B5判、208ページで独演会を収録したCD付き。税別1500円。全国の書店で販売している。


2016年02月29日月曜日

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