岩手のニュース

<この人このまち>避難者交流の懸け橋に

佐藤昌幸さん

 盛岡市のNPO法人「いなほ」が、岩手県沿岸で東日本大震災に遭い内陸部に避難した被災者の自立支援に取り組んでいる。代表理事の佐藤昌幸さん(37)は避難先の自治体の垣根を越えた交流会を手掛け、避難者同士が自発的に支え合える関係づくりを促す。(盛岡総局・横山勲)

◎NPO法人「いなほ」代表理事・佐藤昌幸さん(37)

 −NPO設立の経緯は。

 「もともとは県社会福祉協議会の職員で、被災者の生活再建支援を担当していました。大きな組織では刻々と変わる避難者の支援のニーズに即座に対応できないことに歯がゆさを感じ、昨年3月に退職して市町村社協OBなど仲間10人とNPOをつくりました」

 −活動内容は。

 「避難先の自治体をまたいだ交流会を主催しています。昨年は滝沢市の避難者が紫波町と奥州市の避難者グループを訪問する形で2回開催し、計約80人に参加してもらいました。3月には花巻市で県内の避難者であれば誰でも参加できる交流会を開く予定です」

 −避難先が違う被災者同士が交流する意義は。

 「避難者のコミュニティーや支援団体の活動は自治体ごとに分断されており、お互いの暮らしぶりを知らないことが多い。交流会を通して避難者同士の新たな友情が生まれたり、震災で離れ離れになった同郷の友人同士が偶然再会したりしたこともありました」

 「そもそも、これまで被災した沿岸市町村に比べ内陸の避難者への支援は限定的でした。いずれ行政も民間も支援体制が縮小していきます。そうなる前に避難者同士でネットワークをつくり、支え合って暮らしていける関係性を構築してもらうのが狙いです」

 −内陸に避難した被災者の生活再建の現状は。

 「被災体験と慣れない土地での生活という二重のストレスに苦しみ、孤立が続く人は依然として多いです。また、内陸に自宅を購入したり新築したりした人と、将来の見通しが立たずにいる人との間で生活再建に差が生じ始めています。継続的な支援が必要です」

 −今後の活動方針は。

 「避難者支援のほかに、町内会や企業向けの認知症サポーターや福祉ボランティアの養成講座にも取り組んでいます。避難者支援も高齢者支援も、最終的には地域の協力が不可欠です。お互いさまの心で社会的弱者となった人を支え、誰もが生きがいを持って暮らせる地域づくりをお手伝いしていきたいです」


[さとう・まさゆき] 78年秋田県美郷町生まれ。秋田県立六郷高卒。岩手県社協職員を経て、15年3月からNPO法人いなほ代表理事。連絡先は法人事務局080(1815)3257。


2016年02月29日月曜日


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