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<再生の針路>岩沼/「仮設退去後」支援へ

沿岸部からの集団移転が進んだ岩沼市の玉浦西地区。公園などを整備して環境に配慮している
菊地啓夫市長

◎震災5年 被災地の首長に聞く(8)菊地啓夫市長

 −復興の進行状況は。
 「事業評価では全体計画の約70%が完成した。おおむね想定した通りのペースだ。市道沿線の盛り土や排水機場の整備、避難路の確保などが残っており、2017年度までの2カ年で着実に推進していく」
 「いざという時の津波よけや避難場所となる千年希望の丘は計15基の造成が目標で、既存の丘を含めて16年度中に14基が完成する。残り1基は財源のめどが立っていないが、必要性を含めてさらに検討していく」

<市民と連携密に>
 −昨年7月には集団移転先の玉浦西のまちびらきがあった。
 「震災直後から復興の在り方を住民と話し合ってきた。移転先に関する住民の意思決定も早かった。震災前からの旧集落ごとのまとまりが生きた。住民の意向を重んじるのが市の一貫した考え方。今後も連携を密にして復興を進めていく」

 −4月末に仮設住宅の全住民が退去する見通しになった。何がポイントだったか。
 「仮設はどうしても居住環境が悪い。いかに早く退去し、自立してもらうかを常に考えてきた。入居期間の特定延長を認めないことを県が決めたのを受け、全世帯に退去期限の通知を出した。同時にヒアリングを始め、個々の希望や資金的問題などのカルテを作り、自立策を考えた。同じ目線で寄り添ったことが自立を早めたのではないか」
 「三つの仮設団地が近接しており、住民が互いに励まし合う関係を維持できたことも大きかった。孤独死は1件もなかった」

<引きこもり防ぐ>
 −今後の課題は。
 「集団移転跡地を約110ヘクタール買い取った。一部は千年希望の丘や公園にしているが、ほかの土地をどう活用していくかが決まっていない。道路、公園、街灯などを維持管理する財源も必要になる」
 「被災者の心のケア、心の復興が重要だ。玉浦西は寄り合いの状態で、本当のコミュニティーができていない。住民の見守りを続け、高齢者らの引きこもりを防ぎたい。公園の草取りや防犯活動などの生きがいづくりも必要だろう」

 −復興後を見据えたかじ取りが求められる。
 「復興と地方創生を結び付けて市域全体の発展を目指す。7月には仙台空港の完全民営化があり、企業誘致を進めて周辺地域の活性化につなげたい。千年希望の丘では5月に植樹祭があり、1万人が訪れて10万本の苗木を植える予定だ。全国に震災の教訓を発信し、元気になった姿を見せることが支援への恩返しになると思う」(聞き手は岩沼支局・成田浩二)


2016年03月02日水曜日


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