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<福島第1>20km圏海中がれき 手つかず

 東京電力福島第1原発20キロ圏の海中に沈んだ災害がれきについて、撤去、処理の枠組みが定まらない。実施主体をめぐり、福島県と環境省で見解にずれが生じているためだ。漁場再生の足かせになりかねないだけに、漁業関係者から早期着手を促す声が出ている。
 福島県は2011年度に海中のがれき撤去に着手。地元漁師や専門業者がこれまで計約3万7000トン近くを回収した。しかし、原発周辺海域は立ち入りが一時、制限されたこともあり、手つかずの状態が続いている。
 12年に施行された放射性物質汚染対処特別措置法は、原発20キロ圏を中心とした避難地域の除染、廃棄物処理を国の直轄事業と定めている。対象地区では現在、環境省が災害がれきの焼却などを担っている。
 このため福島県は「海上も20キロ圏。海中のがれき処理は国が主体となってほしい」(水産課)と主張。これに対し環境省は「直轄地域は陸上に限られる」との立場で、隔たりは大きい。
 県の担当者は「他地区のがれきとは事情が異なる。13年から要望しているが、国との協議は合意に達していない」と話す。
 がれきの多くは汚染の可能性が否定できない。最寄りの請戸漁港と富岡漁港は復旧途上にあり、回収後の荷揚げ先は南相馬、いわきなどの漁港に限られる。保管場所の確保と処理には住民や自治体の理解が不可欠だ。
 原発事故後、20キロの海域では漁の全面自粛が続いている。県漁連は1月、自粛範囲を半径10キロに縮小する考えを提示。操業再開に向け、海中の環境浄化が急務となっている。
 がれきは漁網を破損させるだけでなく、操業中の事故も招きかねない。県漁連の野崎哲会長は「撤去なしに自粛海域の縮小も進まない。水産庁や県などに調整を求めていきたい」と話している。


2016年03月02日水曜日


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