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<再生の針路>南三陸/命守る町 世界に発信

高台の志津川東地区では南三陸病院周辺で災害公営住宅の建設が進む
佐藤 仁町長

◎震災5年 被災地の首長に聞く(9)佐藤仁町長

 −復興事業の進展はどうか。
 「新年度中に防災集団移転促進事業の宅地造成(841区画)を終え、738戸整備予定の災害公営住宅もおおむね完成する。最重要課題の住宅再建にめどがついた」
 「住民が戻る条件は教育、医療、買い物などの利便性だ。昨年10月に戸倉小、12月に南三陸病院が再建を果たした。来年夏には志津川中央地区近くに大型スーパーが建つ。普段の生活で必要な施設は整う」

<子育て支援に力>
 −直面する課題は何か。
 「少子高齢化が著しい。子育て支援に力を入れる必要がある。高校生までの医療費無料、保育所の保育料半額を実施している。続く施策を新年度展開する」
 「災害公営住宅に空きがあるのに約30世帯が住宅再建の意向が決まっていない。建設費の8分の1は町負担。家賃で返済するので空室はつくりたくない。民間のアパート建設が始まっていて、町営住宅の先行きが不安だ。被災者の意向を早い時期にまとめ、入居者を広く募集したい」

 −高台に住宅、低地に事業所と分ける「職住分離」で、にぎわいが生まれるか不安の声もある。
 「住宅となりわいの場をつなぐバス路線を新設したい。職住分離の決断は震災の1カ月後だった。毎日遺体安置所で手を合わせる度、二度と同じ光景をつくってはいけないと考えた。命を守るのが最優先。住宅の高台移転の評価は後世の人々がすべきだ」

<ブランド化推進>
 −震災復興と地方創生を同時に取り組まなければならない。町の強みは何か。
 「南三陸杉は持続可能な森林管理の国際認証(FSC)を取得した。新国立競技場の木材に採用してもらえるようトップセールスする。戸倉のカキ養殖場も国際認証が認められる見込みだ。町の生産物をブランド化し、復興からさらに一段上の飛躍を目指す」
 「町を国際津波防災都市と位置づけたい。ここまで被害を受けた町は世界でもまれだ。壊滅した町がどうやって命を守る町へ生まれ変わったか一つのモデルとして世界に発信していく」
 「観光にも力を入れる。4月には高度衛生管理型の魚市場が完成する。通路を造って観光客に自由に新鮮な海産物や競りの様子を見てもらう。農業や漁業の体験プログラムも多彩だ」

 −人が定着するには、水産加工業だけでない多様な雇用が必要ではないか。
 「事務職募集は少なく雇用のミスマッチはある。ただ、大きな工場や企業の誘致は撤退リスクが大きい。まずは奨励金制度で小規模の起業を促していきたい」(聞き手は南三陸支局・古賀佑美)


2016年03月03日木曜日

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