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<避難解除>高齢者続く生活苦 古里戻れず

福島県川内村から避難した高齢者が暮らす郡山市の仮設住宅

 東京電力福島第1原発事故の半年後に避難指示が解除されたにもかかわらず、古里に戻れず苦しい生活を続ける「自主避難者」がいる。福島県川内村の旧緊急時避難準備区域(原発20〜30キロ圏)に住んでいた高齢者たちだ。東電の賠償金は早々と打ち切られ、避難先での生活再建にも踏み出せないでいる。

<収入は年金のみ>
 2月7日朝、郡山市南1丁目の仮設住宅集会所。お年寄りがぽつりぽつりと集まってきた。高齢者支援のNPOが週2回開く「横丁市場」。野菜や海産物を市販の半値ほどで販売する。
 村から避難する猪狩チヨコさん(86)は欠かさず顔を出し、買い物をする。「家計はだいぶ助かります。顔見知りもできたし楽しみ」
 村では野菜を作り、直売所で売っていた。事故前に夫を亡くし、プレハブ仮設の1DKに1人で暮らす。
 月10万円の精神的賠償(慰謝料)は2012年8月に終了し、現金収入は1カ月3万円の年金だけだ。自給自足に近かった村とは異なり、飲料水も買うような生活。NPOから月1回、コメの配給を受け、三春町に住む親族から野菜などを送ってもらっている。
 半壊した村の自宅は傾いたままだ。戻って農業を再開するのも体力的に難しい。仮設住宅を出れば、仲良くなった友人と離れ離れになる。郡山市の仮設なら近くに大きな病院もあるので安心だ。
 自主避難者への仮設住宅の提供は17年3月に終了する。猪狩さんは「できるだけここで暮らしたい」と願う。

<約100世帯に配給>
 NPO代表の志田篤さん(67)によると、村から避難し、郡山市内の仮設住宅3カ所に住む約100世帯が配給を受けている。
 村東部に残っている避難区域は今春にも解除される。村は住民帰還を促進しようと、複合商業施設や工業団地の整備を進め、引っ越し費用の助成制度も用意した。だが、志田さんは「住民の生活再建あっての復興だ。帰れない人がいることを前提に手当を講じるべきだ」と訴える。
 猪狩貢副村長は「郡山市の仮設住宅は村より便利な場所にある。生活に慣れ、家賃が無料なら住み続けたいと思う人もいる」とした上で、「入居期限が近づくことしは、帰還するかどうか各世帯が判断する年になる。帰還を判断できる環境を整え、できる範囲でサポートしたい」と話す。(横山浩之)


2016年03月03日木曜日

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