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119番対応統一研修 山形大生死亡契機に

 119番通報に対応する通信指令員の能力向上を図るため、山形県は新年度、県内統一研修を導入する。心肺停止状態の搬送者生存率が低迷する状況に加え、119番した山形大生が死亡した問題を受け、県などでつくる県救急業務高度化推進協議会が救急態勢の改善策を検討していた。
 総務省消防庁によると、都道府県レベルの統一研修は、福井県に次いで2番目という。
 県内約150人の通信指令員全員を対象に、年2回研修会を実施する。医師や経験豊富な救命救急士が講師となり、救急活動に不可欠な医学知識のポイントを伝える。これまでは消防本部単位で教育していた。
 国の教本や教育モデルをベースに、県が独自に監修したテキストを使用し、具体的な対応力、判断力強化を目指す。救急患者の緊急度、重症度の識別基準を明確化。通報から「呼吸していない」「いびきをしている」などのキーワードを聞き取り、通報者への応急処置指導を徹底する。
 症状に応じた搬送先を的確に選択するため、疾病と病院をセットにしたリストも作成した。
 協議会が調査した結果、通報内容を記入する119番通報受理票(チェックリスト)について、救急と火災を併用している消防本部があった。救急要請専用の受理票の見本を作成し、各消防本部の現場での活用を提案する。
 県によると、心肺停止の搬送者生存率は14年度までの10年間で7.7%。全国47都道府県で43位と低迷している。
 119番山形大生死亡問題を受け、協議会内には通信指令員の教育や業務検証の必要性を指摘する声があった。協議会が昨年3月に開いた講演会の講師は、全国の消防本部の約6割が指令員への研修を実施していない実態を説明。「多くが先輩から後輩へ口頭で引き継がれている程度だ」と述べていた。
 県危機管理課の担当者は「119番は救命医療の入り口。通信指令員の技術向上により救命率アップを図りたい」と話している。

[119番山形大生死亡問題]山形大2年大久保祐映(ゆうは)さん=当時(19)=が2011年10月31日、山形市内の自宅アパートから119番で救急車を要請。市消防本部の通信指令員は自力で病院に行けると判断し、救急車を出動させなかった。大久保さんは9日後、遺体で発見された。母親は12年6月、市に損害賠償を求めて提訴。15年3月、市が解決金1500万円を支払い、教訓を市消防本部の職員研修に採り入れることなどで和解した。


2016年03月04日金曜日


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