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<検証変貌するまち>住まい再建、なお途上

◎被災3県、用地整備35%

 東日本大震災からの復興に向けたまちづくりは、被災者の住まい再建が最重要課題だ。被害の大きかった東北3県で住宅用地を整備する主な事業の進み具合を見るとともに、津波被災地のかさ上げをめぐる現状を探る。

 岩手、宮城、福島3県の主な復興まちづくり事業により、被災者向け住宅用地の整備率は35.1%にとどまった。震災から5年がたち、暮らしの土台づくりはなお途上にある。
 ことし1月末時点で各事業の宅地供給の計画区画数と、そのうち提供済みを含めて引き渡しが可能になった区画数を尋ねた。被災者が使う宅地を造る防災集団移転促進、復興土地区画整理、漁業集落防災機能強化の3事業のどれかを導入している32市町村を対象とした。
 3県の整備率などは表の通り。県別では宮城42.1%、福島40.3%、岩手25.2%だった。
 事業別でみると、集団移転の進捗(しんちょく)率は63.0%。漁業集落の防災機能強化は50.1%だった。土地所有者らの権利調整に時間がかかるとされる区画整理は17.1%にとどまった。
 計画通りに全ての宅地を提供したか、引き渡しできる段階になったのは岩手県が久慈市、田野畑村、岩泉町、宮城県は仙台市、岩沼市、亘理町、福島県は相馬市、南相馬市の計8市町村だった。
 福島県の浪江、富岡、楢葉3町は集団移転事業の宅地整備率が0%。同県によると、いずれも東京電力福島第1原発事故の影響で開始が遅れ、造成工事に入ったのは楢葉町だけになっている。
 事業の進む速さは事業規模などにも左右されるが、整備率が1桁台なのは山田町8.5%、釜石市8.1%、いわき市6.5%、塩釜市3.8%だった。
 山田町は区画整理の造成工事が完了しておらず、整備区画はまだない。釜石市は区画整理の工事が2017年度中に完了する見込みだ。
 いわき市は区画整理の事業区域に点在した家屋の住民がいったん外に移るのに時間を要したという。塩釜市は2地区の区画整理で換地計画の策定などが遅れ、完了を15年度から2年延ばす方向で検討中。4月以降に宅地引き渡しを始める。

[防災集団移転促進事業]津波被害を受けた住宅を集落単位で高台や内陸の安全な所に移す事業。適用要件を10戸以上から5戸以上に緩和した。家屋の新築費は被災者が自己負担で賄う。

[復興土地区画整理事業]被災地の市街地や住宅地をかさ上げするなどして広い道路や公園を備えた住宅地などを造る。手続きは通常の区画整理と同じ。主に(1)事業計画決定(2)諮問機関となる審議会の設置(3)将来の土地の位置や範囲を示す仮換地指定(4)工事(5)換地処分(6)土地と建物の登記−といった流れで進められる。地権者が少しずつ土地を出し合う「減歩」を伴う。

[漁業集落防災機能強化事業]災害に強い漁業集落を築くため、かさ上げや移転などで住環境を改善させるのが狙い。災害危険区域の指定は伴わず、一定の条件で元の土地に住むことができる。


2016年03月06日日曜日

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