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<検証変貌するまち>自治会活動 ゼロから

つばめの杜東自治会の役員会で議事を進める橋本さん(中央)。奥は菊田さん=2月7日、宮城県山元町

◎宮城・山元 つばめの杜地区

 東日本大震災では被災者の多くが集団移転先でコミュニティーをゼロから築くという難題に直面した。先行地の一つ、宮城県山元町の「つばめの杜地区」では解決に向け、まちづくりの若手研究員が奔走する。
 2013年4月、県内でいち早く災害公営住宅の一部が建った同地区。分譲宅地と合わせて550戸規模になる。自治活動を担うのは「新山下ときわ会」と「つばめの杜東自治会」。宮城大(宮城県大和町)が12年度から町の委託を受け、両自治会の運営を支える。
 2月7日に集会所であった東自治会の役員会。出席者13人を前に宮城大の特任調査研究員、橋本大樹さん(33)と調査研究業務補助、菊田渉さん(26)が議事を進めた。今月末にある自治会の定期総会に出す規約改正案などを討議した。
 橋本さんは新たな組織図を役員に示し「三つの部会を設けて執行部と役割を分けてはどうでしょうか」と提案した。負担が偏らない内容に異論はなく、改正案に盛り込むことを決めた。
 橋本さんと菊田さんは宮城大地域連携センターが町内に構える山元復興ステーションのスタッフだ。同僚の岩佐貴美子さん(44)、渋谷知美さん(41)と計4人で支援に当たる。
 業務は役員会や総会の議事進行をはじめ、議題や書類の作成、組織や規約づくりへの助言と多岐にわたる。住民の融和を促すため夏祭り、お茶飲み会といった催しを積極的に開く。
 地区には津波で壊滅的な被害を受けた沿岸の各集落から住民が転入し、隣近所が初めて顔を合わせることも少なくない。兵庫県で多くのまちづくり支援に携わった橋本さんは特別な経緯ゆえの難しさを感じる。
 「住民は自分の生活再建で手いっぱい。住み慣れた集落を離れ、見知らぬ人同士がゼロベースで新しいまちづくりを進めるには自治の重要性を何度も訴えるしかない」
 4人への住民の信頼は厚い。ときわ会の大久保勝美会長(72)は「自治会づくりのルールを初めから教えてもらえた」と感謝する。町と大学の委託契約は今月までだったが、両自治会は1月末、町に契約の延長を求める要望書を出し、支援継続の約束を取り付けた。
 宮城大が移転先の自治活動を支援するのは山元町だけ。地域連携センターの竹内文生センター長は「住民に近代的な自治のマネジメントを伝え、自立的に動けるまで支えたい」と語る。(原口靖志)


2016年03月07日月曜日


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