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<全町避難>富岡町の歩み資料でたどる

震災遺産などの展示品を確認する町の歴史・文化等保存プロジェクトチームのメンバー=福島県富岡町

 東京電力福島第1原発事故で全町避難する福島県富岡町は9日から、いわき市のいわき明星大で、町の成り立ちや歩みを資料でたどる企画展を震災後初めて開く。地域の発展に力を注いだ先人の努力や営みに触れることで、古里とつながる機会にしてもらいたいとの狙いだ。
 テーマは「富岡町の成り立ちと富岡・夜の森」。旧石器時代から現代まで物品や写真を通して紹介する。資料約100点の大半は町の「歴史・文化等保存プロジェクトチーム」が解体前の民家や蔵で収集した。
 近世から近代にかけての展示では、宿場町の様子を伝える資料として、仙台藩主が宿泊したことを示す木札などを紹介。経済状況を示す呉服店の台帳も並べる。近代以降では、とっくりなど高齢者に懐かしい品々も置く。
 震災と原発事故は「震災遺産展」として独立して扱い、被災の爪痕を残す物品を同じ会場に展示する。津波で被災したパトカーの一部や災害対策本部跡に残されていた書類などを公開し、教訓を広く発信する。風景を立体映像で再現するシステムも導入し、富岡駅前などを体験してもらう。
 通史的な展示にした理由について、門馬健学芸員は「原発誘致や原発事故だけが町や双葉郡を語る起点ではない。地域で生きてきた町民のアイデンティティーを考える上では、富岡がどういう場所だったのかを知ることが大切」と説明する。
 企画展に共通するのは「古里を喪失させない」との町民へのメッセージだ。町は復興計画で、帰還か移住かの二者択一ではなく、多様な町民の考え方を「第3の道」として尊重し、支援する考えを示した。今回の展示企画のように、各地に避難する町民が古里と関われる取り組みを検討する。
 14日まで。入場無料。時間は午前10時〜午後4時。


2016年03月07日月曜日


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