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<震災5年>活気ある仙台圏活用へ

氏家照彦(うじいえ・てるひこ)慶大卒。69年日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。93年七十七銀行入り。専務、副頭取を経て10年から現職。69歳。仙台市出身。

 東日本大震災で、東北経済は大きな痛手を受けた。現在は復興需要に支えられて回復傾向にあるものの、被災地はいまだ復興の途上にある。東北の企業や団体のトップ5人に、震災からの5年と今後について聞いた。

◎東北・経済人に聞く(1)七十七銀行頭取 氏家照彦氏

 −被災地の現状に対する見方は。
 「人口減が加速し、住宅再建は進まない。水産加工業は生産できない期間に、納入業者としての地位が後退した。復興は道半ばだ。一方、常磐自動車道、三陸道自動車などインフラは震災を機に急速に整備された」

 −復興に向けて特に力を入れてきたことは。
 「全行で顧客の元に足を運んで実情を把握し、何をすべきかを考えた。震災前の2010年度に約25万件だった訪問件数は、14年度は約65万件に増えた。積極的な顧客訪問は今も続いており定着している」
 「復興関連貸し出しは法人、個人合わせて2万1000件、5300億円に及ぶ。グループ化補助金が交付されるまでのつなぎ資金供給に力を入れた。補助金申請事務も支援した。集団移転では土地を借りて住宅を造るケースがあるため、土地を担保に取らない住宅ローン商品を開発した」

 −二重債務問題への対応も問われた。
 「個人向けには被災者の住宅債務を減免する『個人版私的整理ガイドライン』が導入され、事業者向けには金融機関が持つ債権を買い取る『東日本大震災事業者再生支援機構』などが設立された。これらの措置は銀行にとって債権放棄という痛みを伴う」
 「だが、地域企業が再生し、個人も立ち直ることが金融機関として営業を継続する基盤になる。積極的に協力した。特に個人版私的整理ガイドラインに関しては、数千通のパンフレットを個別に債務者に配り、制度周知に努めた」

 −国内の経済環境は復興にどう影響したか。
 「アベノミクスが復興に役立ったかどうかは判断が難しい。安倍政権になってから株価が上がり、円安になった。円安は原材料を輸入する水産加工業にとってはマイナスの側面もある」

 −仙台を地盤とする金融機関として、地域経済にどう貢献していく。
 「仙台を中心とした経済圏は活気があり、経済活動水準が高い。ことしは北海道新幹線開業、仙台空港民営化、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に伴う財務相・中央銀行総裁会議もある。都市としての力が付いてきた。被災地そして東北全体のため、仙台という素材の活用が必要だ」
 「当行は仙台圏の情報ハブ機能を果たしたい。県外で経済活動する人や、仙台に関心のある人に情報を提供していく」(聞き手は報道部・小木曽崇)


2016年03月08日火曜日


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