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漆かき道具作り 待望の新弟子

道具作りの話をする中畑さん(右)と新岡さん

 全国で唯一、漆かきの道具を作り続ける青森県田子町の鍛冶職人中畑文利さん(73)の下で、新弟子の新岡恭治さん(39)が修業を重ねている。築約100年のすすだらけの工房に、2人が息を合わせて鉄をたたく音が響き渡る。
 中畑さんは長年、日本一の漆生産量を誇る二戸市浄法寺町の漆かき職人約20人の道具作りを一手に引き受けている。現在は6月の漆かきシーズンを前に、幹に傷を付ける「かんな」などの道具作りに追われる。
 これまで弟子2人の面倒を見たが、ともに独り立ちする前に去った。新岡さんは昨年12月に町地域おこし協力隊に採用され、漆かき道具作りの技術を学ぶため工房に通っている。
 新岡さんは同県中泊町出身で、弘前市の「二唐(にがら)刃物鍛造所」の鍛冶職人だった。「漆かきの道具は中畑さんだけ。その技術を受け継ぎ残したい」と妻子を弘前に残し、後継者に手を挙げた。
 鍛冶の経験者だけあってのみ込みは早い。道具作りの下準備では新岡さんが大きなハンマー、中畑さんが金づちを持ち、言葉を交わさずに黙々と鉄をたたく。中畑さんを長年手伝ってきた妻和子さん(62)も「頼りになる」と認める。
 中畑さんは64歳の時、骨髄性白血病の宣告を受けた。盛岡の病院に月1回通い、抗がん剤治療を続けている。いつまで作業できるか分からず、新岡さんへの期待は大きい。
 師匠は新弟子に「協力隊の3年の任期中に、漆かきの道具をだいたい作れるようにしたい。工具の手直しから農家のニンニク包丁まで、何でも作れる地域の鍛冶屋になってもらいたい」との思いを託す。
 漆かきシーズンの夏に向け、仕事は忙しさを増していく。新岡さんは「苦労は多いだろうが、数年間は我慢。将来はこの田子に工房を構え、妻ともうすぐ10カ月の長女を呼び寄せたい」と気を引き締める。


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2016年03月08日火曜日


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