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<震災5年>嶋基宏「東北一つ 感動を再び」

4年ぶりに訪れた東松島市大曲小で児童たちと触れ合う嶋捕手=2015年12月2日

 東日本大震災発生から間もない2011年4月、当時プロ野球東北楽天の選手会長だった嶋基宏捕手(31)はスピーチで「見せましょう、野球の底力を」と呼び掛け、勇気づけた。震災から5年。今、胸に去来するものは何か。
 あのスピーチは正直、しなければ良かったと思っている。影響力をそこまで考えていなかった。聞いて救われたと言ってくださる方がたくさんいたので良かったと思う半面、13年に優勝するまでプレッシャーが重荷になった。優勝してかなり肩の荷が下りた。
 震災のあった年、(僕は)周りから「顔が暗い」「はつらつとしていない」と言われ続けた。もっと頑張らなきゃいけない、とプレッシャーを感じていたんだろう。シーズンが終わった時、そう思った。あの1年はすごく長く感じた。
 昨年12月とことし1月、東松島市などの被災地に行った。いまだ仮設住宅で生活している人も多く、何より被害に遭われた方々の心はまだ癒やされていない。復興までは、なお時間がかかると感じた。(自分が)普通に生活できているのがどれだけありがたいか、そう思った。
 あれから5年、東北楽天には震災後に入団してきた選手が増えた。当時の状況を知らない者や、あるいは知っていても忘れかけている者もいる。僕たちの世代が「東日本大震災」を伝えていかないといけないと強く思う。しかし、僕はいつか引退する。当時を知る選手たちも時の経過とともにどんどん減っていく。何とか誰かが引き継いでいってほしい。
 今、あらためて思い出す。13年シーズンに日本一になって、皆さんが涙を流して喜んでくれたり、優勝パレードにたくさんの人が来てくれたりしたことを。うれしかった。優勝に向かう中で、何より東北全体が一つになっていくのを肌で実感できた。
 あの感動をもう一度味わいたい、いや一度だけじゃなく、何度でも経験したい。あの感動、ことしも味わいたいと思っている。(談)

■震災直後の嶋基宏選手のスピーチ
 あの大災害は本当だったのか。いまでも信じられません。僕たちの本拠地でもあり、住んでいる仙台、東北が今回の地震、津波で大きな被害を受けました。
 いま、スポーツの域を超えて野球の真価が問われていると思います。見せましょう、野球の底力を。見せましょう、野球選手の底力を。見せましょう、野球ファンの底力を。共に頑張ろう、東北。支え合おう日本。僕たちも野球の底力を信じて精いっぱいプレーします。(2011年4月2日・札幌ドーム)


2016年03月11日金曜日

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