岩手のニュース

<震災5年>街の面影残すビル 花手向ける

かさ上げ地そばの商業ビルで犠牲者の冥福を祈る遺族たち=11日午後2時46分、陸前高田市

 東日本大震災で被災し、大規模なかさ上げ工事が進む岩手県陸前高田市中心部に震災当時から残る商業ビルで11日、遺族9人が祭壇を設け花を手向けた。
 かさ上げの進行に伴い、中心部で家族らを失った遺族は、亡くなった場所を訪れるのが難しくなってきた。かさ上げ地そばのこのビルだけが街の面影を残し、目印にもなっている。
 上野和雄さん(64)はビル近くにあった市民会館に避難した長女公子さん=当時(26)=を亡くした。「普段は(かさ上げ工事で)入れないが、きょうは娘の近くに来ていると感じる。だいぶ景色が変わった」と市民会館のタイルを供えた。
 ビルを所有する米沢祐一さん(51)は両親と弟が犠牲になった。自身は屋上の煙突にしがみついて一夜を明かし、命をつないだ。
 「物言わぬ語り部」として被災したビルを残す。震災1カ月前に生まれた長女は5歳になり、津波が分かるようになった。
 「ここで何があったのか、ビルを見れば一目瞭然。これから良い街をつくると同時に、できる限りビルを残したい」と誓った。


2016年03月12日土曜日


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