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<震災5年>ともしびの先に きっと明日が

「がんばろう!石巻」の看板前で、灯籠とキャンドルに追悼の火がともされた=11日午後5時50分、宮城県石巻市門脇町5丁目

 東日本大震災から丸5年となった11日、東北の被災地では多くの人が犠牲者をしのんだ。悲しみを胸に刻み、明日に祈りを託す。各地の一日を見つめた。

◎ドキュメント3.11被災地の一日

■午前8時2分 津波で当時の町長と職員計40人が犠牲になった岩手県大槌町の旧役場庁舎前で幹部職員らによる追悼式。周囲は盛り土工事の重機の音が響く。平野公三町長は「ふるさと大槌を取り戻すため、皆さんの思いをしっかり受け継いで力強く前に進む」と述べ、献花した。

■午前8時36分 宮城県東松島市鳴瀬未来中が体育館で追悼集会を開いた。木村幹夫防災主幹教諭(49)は震災で亡くなった当時の生徒3人の名前を挙げ、全校生徒248人に語り掛けた。「震災を経験し、みんなは将来の家族や次世代の命を守ることができる。震災を振り返りながら前に進んでいきたい」
■午前9時55分 宮城県気仙沼市中心部を見渡す五十鈴神社境内で、神職ら約70人が犠牲者を追悼した。同市の八幡神社の熊谷正之宮司(60)は「亡くなった方々の心を安らかにするためには古里の復興を見届けてもらうしかない」と表情を引き締めた。
■午前11時 宮城県亘理町荒浜の当行寺で犠牲者の追悼法要。亡くなった檀信徒124人と同じ数のちょうちんに明かりがともされた。弟夫婦らを失った主婦佐藤琢子さん(70)は「ちょうちんを見ると弟たちを思い出す。遺された3人の子を見守ってほしい」。
■午後2時46分 仙台市青葉区の中心商店街アーケードに黙とうを呼び掛ける放送が流れる。買い物客らが足を止めて静かに目を閉じた。手を合わせた青葉区の看護師工藤悠加さん(29)は「犠牲になった方やその家族の心が癒えるよう祈った」と話した。
■午後2時57分 宮城県石巻市門脇地区にある「がんばろう!石巻」の看板前で、約600個の風船が一斉に空へ放たれた。犠牲者の追悼と生き残った人を励ます気持ちを込め、看板を設けた元住民の配管工事業黒沢健一さん(45)らが企画。色とりどりの風船が海風に乗って青空に吸い込まれた。
■午後3時20分 仙台市宮城野区蒲生で津波到達時刻が近づく中、旧中野小跡地の慰霊塔に当時の住民らが次々と訪れた。昨年11月に宮城野区福室で自宅を再建した会社員阿部耕也さん(41)は犠牲になった消防団の先輩の冥福を祈り、「長いようで短い5年だった」と振り返った。
■午後4時30分 「がんばろう!石巻」の看板前で約3000個の灯籠とキャンドルにボランティアらの手で火がともされた。日が落ちると、暗闇の中に「3.11」「追悼」の文字が浮かび、参加者は手を合わせた。企画した黒沢さんは「今も変わらず苦しい思いをしている人がたくさんいる。明日からまた一日一日を大切に過ごしたい」。
■午後6時4分 福島市の街なか広場で「キャンドルナイト」。約1200本のろうそくの火が揺れ、約1000本が「3.11ふくしま」の文字を浮かび上がらせた。長男(7)と長女(3)を連れた福島市の主婦高橋千晶さん(33)は「何事もなく子どもが健康で暮らせますように」と願いを込めた。


2016年03月12日土曜日


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