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<むすび塾>南海トラフ 災害弱者の避難検証

児童が自ら避難先を考えて行動した避難訓練
避難訓練で高台の避難先を目指す車いすの住民と支援者

 東日本大震災の教訓を今後に生かすため、河北新報社は2月20日、巡回ワークショップ「むすび塾」を高知市潮江南地区で開いた。高知新聞社(高知市)との共催で通算52回目。東北大災害科学国際研究所、電通と共同展開する津波避難モデル事業「カケアガレ!日本」と連動し、学校と地域住民が避難訓練をした。話し合いでは、参加者らが地域や家庭の備えについて意見を交わした。

◎津波に備え学校・住民連携

 高知市潮江南地区の避難訓練は雨が降りしきる中で実施し、要援護者と小学生の親子ら約30人が参加した。南海トラフを震源とするマグニチュード(M)9.1の巨大地震が起き、20〜30分後に5メートル以上の津波が押し寄せると想定。避難先、経路などを検証した。
 車いすを利用する川上観世さん(19)の避難をサポートする訓練では、近所の村上龍一さん(68)と横山顕介さん(67)が車いすを押して高台を目指した。3人は海抜26メートル地点に13分で到着。村上さんは息を切らし、「悪天候の時には坂道を登るのがさらに大変になる」と心配した。
 潮江南小5年の富永さらんさん(11)と1年のかれんさん(6)姉妹は、親の居る自宅から離れて公園で遊んでいた時に、地震に遭ったと設定した。
 姉妹は揺れから身を守った後、公園を出発。「土砂崩れがありそう」と高台を避け、潮江南小に向かった。一足先に学校に避難した父栄司さん(40)と約10分後に合流し、そのまま学校にとどまった。
 さらんさんは「どこに避難するか、妹とは意見が分かれた。前に父と学校に避難しようと話していたことを思い出した」と説明した。
 潮江南地区には高台へと続く上り口が20カ所以上ある。ただし、道幅が狭かったり、急勾配だったりする避難路が多く、道路脇にブロック塀が設置されている箇所も目立った。
◎ビル少なく住宅が密集

 南海トラフの巨大地震による高知市内の想定死者数は最大1万2000人、建物被害は全壊で最大5万2000棟に上る。
 潮江南地区は約4300世帯、8500人が暮らす。川を挟んで市中心部に隣接し、河口や湾に近い。戸建ての住宅が密集し、他の地域に比べて津波避難に活用できるようなビルが少ない。埋め立て地のため液状化や背後の山の崩落が懸念され、最大震度7で3〜5メートルの津波により、特に大きな被害が予想されている。
 地区の高齢化率は29%。潮江南小には児童363人が通う。町内会や学校などは潮江南防災連合会を組織。高齢者を含めた幅広い年齢層の避難を想定し、訓練などに取り組んでいる。


2016年03月13日日曜日


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