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<同一労働同一賃金>政府変心に戸惑い広がる

連合宮城が開いた2016年春闘の総決起集会。安倍政権の労働者政策を「参院選目当て」と警戒する組合員が多い=7日、仙台市青葉区の勾当台公園市民広場

 今夏の参院選を前に、正規、非正規に関係なく同じ仕事には同じ賃金が支払われるべきだとする「同一労働同一賃金」の論戦が熱を帯びてきた。政府が目玉に掲げる「1億総活躍」実現を理由に法制化を目指す安倍政権に対し、宮城県内の労働組合は「参院選目当てのごまかし」と警戒する。経済界も「実情に合うのか」と真意をいぶかる。

◎労組「参院選目当て」/経済界「実情の合うのか」

 同一労働同一賃金は、もともとは労働界が賃金格差の是正を図るため企業や政府に要求してきた。安倍晋三首相がことし2月の1億総活躍国民会議などで法制化に意欲を示し、労働界を戸惑わせている。
 賃金格差は統計上の数字からも明確だ。厚生労働省によると、県内の男性平均賃金(昨年6月)は時給換算で正規が1855円。これに対し、非正規は1093円にとどまる。
 同一労働同一賃金は労働者にとっては朗報に聞こえるが、連合宮城(約7万8000人)の小出裕一会長は「参院選が近づき、国民受けの良いフレーズを掲げてきた。期待感を持たせて終わるだけだろう」と突き放す。
 労働界の疑念は、政府の労働者政策に端を発している。昨年9月、企業の派遣労働者受け入れ期間制限を撤廃する改正労働者派遣法が成立。一般業務で最長3年という派遣期間への違反が直接雇用のきっかけになると予想された改正前の制度と、大きく変わった。政府はさらに、年収の高い専門職に「残業代ゼロ」制を導入する労働基準法改正を目指している。
 改正労働者派遣法と同時に成立した同一労働同一賃金推進法は、民主党などによる当初案では「待遇の均等の実現」だった。
 しかし自民党などの要求で「事情に応じた均衡(バランス)のとれた待遇の実現」とトーンが弱められた経緯がある。「今まで労働環境の改善につながる政策を何らやっていない。安倍政権を信用できない」と小出会長は言う。
 県労連(約1万4000人)の安藤満議長も「参院選で争点化されるのを避けようと、見せ掛けの希望を打ち出したのだろう。絵に描いた餅だ」と断じる。
 政権の「変心」には、企業側からも戸惑いの声が上がる。
 県経営者協会の海輪誠会長は「終身雇用が前提の国内労働市場では、一般論として経験、年数、能力を含めて賃金が決まる。合理的な格差はあり得るのではないか」と指摘。政府内の議論を注視していくという。
 政府は5月にまとめる1億総活躍プランに、同一労働同一賃金対策を盛り込む見通し。


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2016年03月14日月曜日


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