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<この人このまち>カメ吉 笑顔で送り出す

「寂しいけど、やっとその日が来たことを喜ばないと」

 東日本大震災で八戸市水産科学館マリエントに避難したアオウミガメの「カメ吉」が21日、久慈市の施設に帰る。5年間飼育した山本綾香さん(24)は命の大切さを教えてくれた出合いに感謝し、笑顔で送り出そうと考えている。(八戸支局・岩崎泰之)

◎八戸市水産科学館マリエント飼育員 山本綾香さん

 −ウミガメの飼育は初めてでしたね。
 「久慈市営地下水族館もぐらんぴあからカメ吉が助け出され、マリエントが引き取ったのは2011年の4月7日でした。最初は泳ぎ回らず、隅でじっとしてふさぎ込んでいるようでした。『復興のシンボル』を元気な姿で返そうとがむしゃらにやってきました」

 −苦労した点は。
 「約1週間餌を食べてくれず、誰も信用していないようでした。もぐらんぴあのスタッフらが様子を見に来たのを機に安心を取り戻し、食べるように。初めて自分の手から餌のイカを食べてくれた時は、自分を、マリエントの環境を受け入れてくれたと思いました」
 「専門家にアドバイスを求め、2年目から健康診断を導入し、餌も見直しました。昨年6月時点では甲長54センチ、体重25.83キロ。体に厚みも出てきています」

 −市民の人気者です。
 「子どもから大人まで幅広く愛されています。久慈の子どもたちが会いに来るなど、多くの絆と出会いをつくってくれました。震災があっても海を嫌いにならないでほしいとの思いがあります。その点でもカメ吉の果たした役割は大きかったと思います」

 −お別れの日が近づいています。
 「毎朝フロアの電気をつけたら顔を合わせる家族のような存在です。愛情を注がないと生き物は応えてくれません。久慈の人たちの頑張りを無駄にしないよう大事に育ててきました。命の重さをスタッフがあらためて意識するきっかけにもなりました」
 「もぐらんぴあは4月23日に再開します。久慈の皆さんもカメ吉を待っているはず。マリエントには後から仲間入りしたウミガメ2匹が残ります。寂しいけど、やっとその日が来たことを喜ばないと」

 −21日はどのように見送りますか。
 「式典を行い、市内の子どもたちと見送ります。盛大に送り出したい。当日はうるっと来るかもしれませんが、そこはぐっとこらえて。カメ吉を不安にさせないよう笑顔で送り出したいですね」

[やまもと・あやか]91年八戸市生まれ。八戸西高卒。10年にマリエント指定管理者団体入社。仲間と150種の飼育を担当する。


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2016年03月14日月曜日

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